アメリカのジョージア大学の教授が必修科目の講義中に「学生からマスク着用を拒否された」として突如辞職してしまうという騒ぎが発生しました。これにより、必修科目が受けれなくなった学生たちは「卒業できなくなるのではないか」とパニックになってしまったとのことです。
ジョージア州のいくつかの都市では新型コロナウイルスの変異株として知られ、非常に感染力が強いとされるデルタ株による感染者の増加が著しく、同州内ではマスク着用の義務化を再度実施しています。このため、同州内にあるジョージア大学でもマスク着用を「強く推奨する」という対応を取っていましたが、義務化まではされていませんでした。
そんな中、88歳で同大学の心理学で教授を務めるアーウィン・バーンスタイン氏は教室の前に「マスクをしないと講義を受けさせることはできない」と掲示し、自身の講義を受ける学生に対して方針に従うよう求めていました。しかし、講義に出席した一人の女子学生がマスクを着けていなかったため、バーンスタイン氏は学生に「使い捨てマスク」を渡したとのこと。しかし、マスクを受け取った彼女は正しくマスクを着用せず、いわゆる「鼻出しスタイル」で着けていたそうです。
その後、バーンスタイン氏は女子学生に対して「マスクを正しく付けなさい」と注意しましたが、彼女はそれを聞き入れませんでした。すると、同氏は教壇上で突如「これで引退だ」と発言した直後、教室を退室し、本当に大学を辞めてしまいました。なお、バーンスタイン氏の講義は必修科目であったため、突然の辞職で講義がなくなったことで「卒業できなくなるのでは?」と学生たちは一時パニックになったそうです。しかし、ジョージア大学の広報担当によると、バーンスタイン氏の講義を受けていた学生は別のセクションに移動することで対応するとのことです。
バースタイン氏が突如大学を辞職した理由について、「マスクをしていない学生を相手に『自分の命』をかけてまで講義はできない」と語っており、同氏は2型糖尿病、高血圧等の基礎疾患を患っていました。このため、同氏が新型コロナウイルスに感染すると、死に至る可能性が非常に高いことから、このような対応を行ったとしています。
バーンスタイン氏は「今回のパンデミックで社会的に多くの意見の相違が生じています。私個人としては『経済の活性化』が『人々の安全な生活』より重要であるという意見には納得できませんし、そのように感じる人がいることに失望しています」と語り、今回の行動はパンデミックにおける自分自身の思いに従って行ったことであるとしています。