AppleがiPadやiPhoneなど同社製品のディスプレイ清掃用に1980円のポリッシングクロスを販売しています。同様のクロスは一般的に数百円程度で入手できるものなのですが、あろうことか数倍以上の価格で販売されている布が想像以上に売れており、記事作成時点で発注しても、年内には発送されない状況になっていることが明らかになりました。
- Apple’s Most Back-Ordered New Product Is Not What You Expect - The New York Times
- Apple's $19 Polishing Cloth is backordered into 2022 due to immense popularity - Neowin
このポリッシングクロスは6.3インチ(16センチメートル)四方の正方形の布で「あらゆるApple製品のディスプレイを安全かつ効率良くきれいにする」ことを目的として作られています。しかし、この製品に1980円の価格を顧客に求めるのはかなり違和感があると考えられています。超極細繊維を使用したマイクロファイバークロスを販売しているMigicFiber社の親会社Gojaで社長を務めるウォルター・ゴンザレス氏は「Appleが設定した超強気の価格設定は評価しないといけませんね」と皮肉を込めた発言をしています。
しかし、2021年10月18日にAppleがポリッシングクロスの販売を開始して以来、購入者が殺到しているようで、主に狂信的なAppleファン(Apple信者と呼ばれる人たち)による購入が目立っているようです。実際、あるユーザーは当初MacBook Proを購入しようとしていましたが、ポリッシングクロスが目に留まり、衝動的に4枚も購入してしまったケースもあるそうです。
そんな中、YouTuberのPatrick Tomasso氏は自身のYouTubeチャンネルでポリッシングクロスのレビュー動画を投稿。ムービー内で彼は「パッケージに入っている時点で2つ折りにされており、開封すると折り目がついてしまっている」と語り、購入後にアイロンをかけないと行けない点を挙げていました。また、同氏は実際に使ってみた感想として「このクロスを使ってディスプレイを拭かずとも、マイクロファイバークロスで十分」と説明し、Apple Storeで販売されている価格ほどの価値はないと断言していました。
なお、Apple社はこのポリッシングクロスを販売した意図について「当社は以前5999ドル(約68万3600円)のハイエンドモニター『Pro Display XDR』を購入したお客様に専用のクロスとして、ポリッシングクロスを無料配布していました。しかし、このディスプレイは特殊なガラスが使用されており、市販のクロスで吹いた場合に傷がつく恐れがあったのです」と説明しており、ハイエンドモニターを購入した顧客が追加購入できるようにするために販売したとのことです。このため、布の販売で荒稼ぎをしたいという目的はAppleにはないようでした。