遺体解剖実習中の医学生「親友の遺体」が目の前に出されてしまい阿鼻叫喚の状態に

ナイジェリアの南部にあるデルタ州の病院に勤める医師のエンヤ・エグベさん(26歳)は7年前の医学生時代に大きなトラウマを抱えたと語っています。彼によると「遺体解剖実習」の授業で自分の前に出された遺体が「7年来の友人」だったとのことです。

エグベさんは当時のことを今でも解剖実習のことを覚えているようで、「実習室には3つのテーブルがあり、3グループに分かれて遺体解剖の実習が行われた」とのこと。このとき、どういう運命の巡りあわせかエグべさんのグループの目の前に置かれた遺体が彼の親友であるディバインさんのものだったのです。

このときエグべさんは「泣きながら実習室を出て行った」と語っており、ディバインさんの死因については「右胸には弾痕が2つあった」ことから、何らかの理由で銃撃を受けて射殺されてしまったようでした。記事作成時点のナイジェリアでは遺体引き取り手のない遺体が大学の医学部に献体として引き渡されるのですが、その9割以上が警察によって銃殺された犯罪者であると言われています。

ナイジェリアでは警察による汚職や拷問や残虐行為が存在するのではないかとする声が日に日に強まっています。この可能性が高いとみられる理由として、ナイジェリアの警察は射殺した犯人の死体を解剖室に運んだり、霊安室に安置したりするケースがないからとされています。実際、警察は「犯行現場を目撃してから、射殺した」とする犯人の遺体はすぐに大学の医学部に運び込んだあと、すぐに解剖させてしまうことで「死体のロンダリング」が行われているのではないかと言われているのです。

今回、エグべさんが実習室で遺体を確認したときは、この直後にディバインさんの家族にメッセージを送信。すると、ディバインさんは友人3人と夜遊びに出かけた際に治安当局に逮捕されたらしく、家族は彼の身柄を引き取るためにいろんな警察署を回っていたところだったそうです。当然、エグべさんがメッセージを送信した時点ではディバインさんが死んだことは家族に全く知らされていませんでした。

その後、エグべさんが大学に掛け合ったことで、ディバインさんの遺体は無事家族の元に引き取られることとなりました。ディバインさんの埋葬が無事済んだあと、家族は警察を相手に裁判を起こし、ディバインさんの殺害に関与した警察官を数人解雇させることに成功しています。なお、エグベさんはディバインさんの遺体を見てから実習がトラウマとなり、数週間授業を受けられなかったそうですが、同期の学生とは1年遅れで大学を卒業し、現在の病院に勤めています。