「このメッセージを見ているならクビ」住宅ローン貸金業者の従業員900名がCEOからのビデオチャットで解雇通知を受ける

住宅ローンの貸金業を営むBetter.comでCEOを務めるヴィシャール・ガーグ氏は2021年12月2日に900名の従業員たちとビデオチャットを行いました。しかし、そのビデオチャットでは従業員の発言には耳を傾けず、CEOが一方的に話すものとなっており、チャットに参加していた従業員900名が一斉に解雇を告げられてしまったとのことです。

Better.comは住宅ローンの貸金サービスをインターネットを通じて行うことで話題となった企業で記事作成時点ではまもなく上場する予定でした。ソフトバンクから7億5000万ドル(約850億円)の出資を受けていた中での解雇劇に従業員には同様が走っていたようでした。

ガーグ氏はビデオチャットの中で「このようなことをするのは私の人生で2度目のことですが、本当はこんなことをしたくはありませんでした。前回同様のことを行ったときは泣いてしまいましたが、今回は強くあろうと考えています」と語り始め、その1分後には「このビデオチャットに参加している方は解雇対象の方々です。このチャットの終了とともに皆さんとの雇用契約は直ちに終了します」と続けました。実際のビデオチャットの様子はYouTubeのPower of Bananaのアカウントが投稿しているムービーで確認することができます。

このビデオチャットを視聴していた従業員の一人はチャット内容を録画し、YouTubeにアップロード(記事作成時点では削除済み)し、「Fu〇k you」と語っていたそうです。従業員が怒ってしまった理由としては「ガーグ氏が従業員に対して申し訳ないという態度を見せずにビデオチャット中『ひたすら自分語りをしていたこと』『解雇された従業員は不運だということ』『このチャットを見ている人は終わりだ』という雰囲気をひたすら見せていた」ということが挙げられています。

同社の広報担当者は「今回、解雇の対象となったのは従業員全体の9%にあたります。解雇を行わなければならないことは非常に心苦しいことではありますが、この解雇で浮いた9%分の人件費を活用することで住宅ローン市場で攻勢に出ることができると信じています」と語り、会社の未来にとって必要な解雇であったことを強調していました。しかし、Betters.comは2020年にはCEOであるガーグ氏に賞与として2500万ドル(約28億3000万円)を支払うなど、金銭面では非常に好調だったようですが、たった1年で一気にここまで景気が悪くなってしまったのは理解しがたいという見方もあるようです。