民間のワクチン研究施設から天然痘ウイルスの小瓶が発見され、FBIが捜査に入る

アメリカのペンシルベニア州にあるワクチン研究施設で研究員が清掃を行っていたところ、施設内の冷凍庫から「天然痘」と書かれた小瓶が発見されるという事件が発生しました。本来、天然痘の病原菌は指定された施設でのみ管理が可能であったため、事件性もあることから連邦捜査局(FBI)と# アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が合同で捜査を行っているとのことです。

この施設はモルヌピラビルを開発したことでも知られるMerck(メルク)社のワクチン研究施設で、同施設の冷凍庫から天然痘と書かれた小瓶5つとワクシニア(ウイルス)と書かれた天然痘ワクチンに使用されるウイルスの小瓶が10本発見されました。

天然痘はバリオラウイルス(天然痘ウイルス)から発症する病気で感染力が非常に強く、人類史上最も凄惨な被害をもたらしたことでも知られる病気で何百万人の死者を出しました。天然痘は1977年にソマリアで報告された自然発症例を最後に地球上から根絶された唯一の感染症です。

画像: Flickr(Midnight Believer)

ただし、記事作成時点では天然痘のウイルスはバイオテロに用いられる危険性が高いとされており、限られた研究施設でのみ管理が許可されている状況にあります。このため、認可外の研究施設から天然痘の小瓶が発見されたことは事件化され、CDCやFBIによって捜査が行われることになりました。

CDCによると、冷凍庫に保管されていた小瓶が発見された際も研究員は手袋とフェイスマスクを着用していたこともあり、誰かが天然痘ウイルスが暴露されたという事実は確認されていないとのことです。捜査当局は「続報については詳細が明らかになり次第発表します」と説明しています。なお、研究施設で天然痘の小瓶が発見されたのは今回が初めてではなく、2014年にはアメリカ国立衛生研究所で6個の小瓶が発見された例が報告されています。