「1年で250%アップ」スペインで電気代が高騰、EUの環境対策が原因か

スペインでは電気代が高騰しており、記事作成時点から約1年間で電気料金が250%上昇しています。これは昨今の気候変動問題に対するスペイン政府が行った対応が原因であると見られており、政府は電気料金を引き下げるために「あらゆる対応」をとっているとのことです。

スペインの電気料金高騰の背景にはEUの二酸化炭素排出量の削減目標に向けた取り組みの影響が大きいとされています。ヨーロッパでは二酸化炭素排出量の大きい発電方法を利用するには「CO2排出権」を購入する必要があります。しかし、この権利の価格が記事作成時点で高騰しているため、火力発電所等の排出量の大きい設備を稼働させるには多額の出費が必要な状況。さらにEU加盟諸国ではクリーンエネルギーの「天然ガス」の需要が高く、ガスの輸入価格も高騰しています。

そして、スペインでは「電力発電」に対して7%の税をかけており、さらに別の「エネルギー税」として5.1%徴収。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で1年間の電力需要が高かったことから「天然ガスの輸入コストの増加」「賄えない分の電力を火力発電等で補うための『CO2排出権』の購入費用」「税率」の4つの要因がすべて重なり、結果的に250%の電気料金の上昇が発生してしまったのです。

当然、スペイン国民は「電気料金の高騰」を防げなかった政府に対して怒りを表しており、消費者団体等からもスペイン政府に対して圧力がかけられているとのこと。このため、スペイン政府はEUに「電力市場に対する対応の呼びかけ」を行ったほか、「電力発電にかかる7%の税の廃止」「エネルギー税を5.1%から0.5%に引き下げる」方針を掲げています。

このスペイン政府の措置により、2021年9月14日の株式市場ではスペインの電力会社の株価が下落しており、スペイン最大のエネルギー企業である「Endesa」は取引開始時に株価を1.7%落としています。