睡眠不足が歩き方に影響してしまうことが判明

睡眠不足が人の歩行に影響を与えてしまうという研究結果がマサチューセッツ工科大学(MIT)から発表されました。この研究結果によると、睡眠不足のときは歩行スピードの制御が細かくコントロールできなくなりますが、慢性的な睡眠不足の人の場合は休日に多めに睡眠時間をとることで状態が改善することも確認されたとのことです。

この研究はMITとサン・パウロ大学が共同して行ったもので、研究チームは学生ボランティアを使った実験で「人の歩行制御の良し悪し」が睡眠時間と関連があることを突き止めることになりました。研究チームが行った実験は各学生ボランティアを遅い速度で稼働するトレッドミル(ランニングマシン)に乗せて「トレッドミルの速度を上下させるので、スピードに合わせて歩かせる」というもの。

この実験で「テストの前日に徹夜をして勉強をしていた学生」はスピードに合わせたコントロールがうまくできず、睡眠時間が長い学生になるほど、スムーズにコントロールできるようになったことが報告されています。また、普段の睡眠時間が短くても、「休日に寝溜めする学生」は「寝溜めしない学生」よりも歩行のコントロールがスムーズだったとのことです。

過去には動物を使った同様の実験が行われており、トレッドミルに乗せられた動物は睡眠時間に関係なく「問題なく歩行速度をコントロールできた」ことが確認されています。このため、研究者の間では「歩行は無意識にコントロールできるもの」と考えられていたようでしたが、今回の実験で人間の場合においてのみ「歩行には『さまざまなプロセス』が必要である」ということが明らかになりました。

本研究に携わったMITの機械工学科に在籍するエルマノ・クレブス氏は「慢性的な睡眠不足になってしまう生活を送っている人は仮眠をとるなど『どこかのタイミング』で睡眠を補うことで歩行の改善につながることがわかりました」と語っています。