ジップラインで地上30mの高さで宙吊りになった女性を助けるため、自ら手を離し死亡した男性

画像: Flickr(Virginia State Parks)

アメリカのカリフォルニア州でジップライン(ワイヤーを滑車で滑降する遊具)施設の従業員の男性がワイヤー上で地上30メートルの高さで宙吊り状態になってしまった女性客を助けるため、自らを犠牲にしてしまうという痛ましい事故が発生しました。女性客に怪我はありませんでしたが、女性客を救助するために地上に落下した男性は病院に運ばれ懸命の治療を受けたものの、死亡してしまったとのことです。

この事故は2021年10月30日にカリフォルニア州南部にあるパウマ・バレーのラ・ホーヤ・リザベーションのジップライン施設で発生しました。従業員のホアキン・ロメロ氏はプラットフォーム上である女性客に命綱などの安全器具の装着を手伝っていました。しかし、器具の装着が完了していない状態で女性客がジップライン上に滑り出してしまうというハプニングが発生しました。

そこで、ロメロ氏はすぐさま自身のハーネスをジップラインに引っ掛け、女性客がプラットフォームから出ないように対応しようと試みましたが、女性の勢いを抑えきれず2人共ジップライン上に飛び出してしまいました。そして、ロメロ氏と女性客は地上から高さ約30メートルの付近で立ち往生し、宙吊り状態になったそうです。

このとき、女性客とロメロ氏は安全器具のない状態でジップライン上に飛び出しており、腕力だけでぶら下がっている状態でした。「このままでは2人共落下してしまう」ことを恐れたロメロ氏は自ら手を離して落下。そして、女性客はそのまま反対側のプラットフォームまで滑降することに成功しました。

落下したロメロ氏は近くの道路に引き上げられたあと、病院にヘリコプターで運ばれ、治療を受けましたが、2021年11月1日に帰らぬ人となってしまいました。施設の責任者を務めるノーマル・コントレラス氏はメディアの取材に対し「ジップライン施設の従業員に起きた事故について、私達は悲しみを抑えられません。私達はロメロ氏とそのご家族に心から哀悼の意を表します」と語りました。

また、事故原因についてコントレラス氏は「事故の状況を踏まえて、当局と連携そして協力のもとに調査を行っているところです。調査が完了するまではコメントを出すことができない状態ですので、犠牲となった従業員とそのご家族のためにも皆様のご協力をよろしくお願いいたします」と述べています。