「左足を切断する手術」外科医が誤って右足を切断してしまう

オーストリアの外科医が「糖尿病患者の左足を切断する手術」で誤って右足を切断してしまうという医療事故を起こしてしまいました。この外科医には2700ユーロ(約34万6000円)の罰金が科され、間違った足を切断された患者には5000ユーロ(約64万円)の賠償金が支払われたとのことです。

この患者は82歳の高齢の男性で2021年5月18日に左足を切断するためにオーストリアのフライシュタット群の病院を訪れました。そして、そのまま手術を行うことになったのですが「本来切断すべきでない足」に切断するためのマークをしてしまったとのこと。手術を担当した外科医の女性は手術中にカルテを確認したときに「間違った足を切断しようとしている」ことに気づいたそうです。

しかし、既に右足の筋肉、腱、靭帯を切断済みで「元に戻すことは不可能な状態」だったため、そのまま手術を続けざるを得なかったと彼女は語っていました。手術が完了した後、医師は82歳の男性に対して「誤って右足を切断してしまった」ことを伝え、引き続き左足も切断しなければならない状況であることを説明したとのことです。

病院側は「(カルテの記述にも問題はなく)管理自体も十分に行われていたため、通常であればこのような医療事故が起きる可能性はなかった」述べており、この外科医の女性も「手術室でのやりとりに問題があった」と手術時にミスがあったと認めています。なお、「切断する足を間違った理由」を裁判で問われた際、外科医の女性は「わかりません」と答えており、何らかのヒューマンエラーが発生して、右足を切断する判断を行ってしまったと述べていました。

なお、原告の男性は裁判前に亡くなってしまいましたが、裁判所は医療事故を起こしてしまった外科医に対して、患者の遺族に対して賠償金5000ユーロ(約64万円)と罰金2700ユーロ(約34万6000円)の支払いが命じられています。なお、患者の男性には既に病院から90万ドル(約1億円)、外科医の女性から25万ドル(約2800万円)の和解金が支払われているとのことです。