「仮釈放取消は嫌だ」仮釈放中に自分の死を偽装しようとした男、バレて逮捕される

インドの警察当局によると、仮釈放中の囚人が自身の死を偽装するため、無関係の男性を殺害していたことが明らかになりました。インドでは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一部の囚人を特例で仮釈放していますが、この囚人の男は自身の仮釈放期間が終了してしまうとの危機感から殺人を犯してしまったとのことです。

警察に逮捕された受刑者の男はスデッシュ・クマール(36歳)という名前で仮釈放期間の間はインドの首都デリーにある自宅で妻と一緒に住んでいました。クマール受刑者は2018年に当時13歳の自身の娘を殺害した容疑で起訴されたあと、刑務所に収監されていましたが、新型コロナの感染拡大により特例での仮釈放措置を受けていたそうです。

インドの一部の州では刑務所が過密状態に陥っており、刑務所内で新型コロナウイルスが蔓延することを防ぐため、一部の囚人を特例で仮釈放していました。このため、クマール受刑者は「新型コロナウイルス感染が落ち着くと自分は刑務所に戻されてしまう」と強い危機感を感じたことで今回の犯行を計画したとのことでした。

クマール受刑者が逮捕後の証言で明らかになった計画は「自身と同じくらいの体型の人間を自宅に呼び込み、殺害後に本人の識別が困難なぐらいに死体を焼いた後、自分のIDを持たせ、妻に自分の死体だと認めさせる」というもの。そこで、クマール受刑者は自身と似た体型の石工職人である男を「自宅を修理して欲しい」と依頼し、家にやってきたところを殺害。その後、死体の顔面を焼いて本人と特定できないようにして、被害者の衣服に自分のIDカードを入れて、近くの空き地に放置しました。

その遺体が警察に発見され、駆けつけたクマールの妻も「この遺体はクマールのもの」と証言。しかし、「顔もわからないのに簡単にクマール受刑者のものとわかるのだろうか?」と疑問に感じた警察は念入りに捜査を行ったところ、監視カメラ映像でクマール受刑者が死体を運んでいる様子が確認されることになりました。また、事件後にクマールの妻の住む家にクマール受刑者らしき人物が出入りしているという情報も入っていたこともあり、警察は夫婦の家に踏み込み、クマール受刑者と犯行に加担したクマールの妻も逮捕されることになったのです。

インド当局は「夫婦は綿密な計画を立てていたようですが、殺人事件を解決できたことを嬉しく思います。この捜査をお行った警察官は称賛に値します」と述べていました。