「責任転嫁?」ベラルーシ大統領が「欧米がロシアに第3次世界大戦を起こさせようとしている」と発言

画像: Flickr (OSCE Parliamentary Assembly)

ベラルーシと言えば、事実上ロシアの傀儡政権として機能しており、記事作成時点ではアレクサンドル・ルカシェンコ氏が同国の大統領を務めています。そんなルカシェンコ大統領は北大西洋条約機構(NATO)加盟の問題でウクライナを侵攻中のロシアに制裁を加えている欧米諸国について「ロシアを第3次世界大戦に導こうとしている」と発言したとのことです。

ロシアの隣国でかつウクライナの北部と面しているベラルーシでは2022年2月28日に憲法改正を巡る国民投票が行われ、可決されることになりました。改正後の憲法では「非核(核兵器を配備しない)条文」「中立国家」に関する内容が排除され「現職大統領の任期制限の緩和」などが盛り込まれています。

この結果、プーチン大統領の意向を強く支持するルカシェンコ大統領の任期は事実上2035年までに延長され、これまで核配備できなかった同国内にロシアの核兵器を配備することが認められる形となったのです。

ルカシェンコ大統領は会見で「現在、銀行や天然ガス、石油、国際銀行間通信協会(SWIFT)で制裁を受けているロシアの現状は戦争よりひどいものだ」と語り「これらの(欧米による)制裁は結果的にロシアを第3次世界大戦を起こさせようとしているものであり、我々はこの戦争に巻き込まれないように自衛する必要がある」と続け、今回の憲法改正の重要性を説明しています。

しかし、同大統領の立場を考慮すれば、これはウクライナや欧米諸国に対してのけん制とも取れる発言といえます。名前を明かさないことを条件で取材を受けたアメリカ政府高官は「ベラルーシは早ければ現地時間の2022年2月28日にもウクライナに軍を送り込むと見られています。現時点でウクライナ侵攻中のロシア軍は補給などの面で苦戦している状況ですが、ベラルーシ軍が入ると戦況は変わるかも知れません」と語っていました。

しかし、ウクライナ側も着々と戦争の長期化に向けた準備を進められており、欧州連合(EU)による武器の支援を受けられる状況。ロシアはウクライナ侵攻のため、かなりの人数を投入している状況であり、戦争が長期化すれば資金繰りの悪化から、自分で自分の首を絞める状態となってしまいます。

短期間で首都キエフを乗っ取ることができなかったロシアとしては2022年2月28日にベラルーシで行われるウクライナとの停戦交渉で大きな成果を得たいところではあるのですが、交渉は難航する見込み。この停戦交渉で今後の状況が大きく動いてしまうことから、交渉の推移は要注目です。

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