「ロシアはハリポタ作者と同じ」プーチン大統領が西側諸国のキャンセル文化の被害に遭ったと発言

画像: Flickr (Gregor Tatschl)

記事作成時点において、ロシアは隣国ウクライナに侵攻を続けており、欧米など多くの国から非難されている状況にあります。そんな中、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「ロシアは今、西側諸国の『キャンセル・カルチャー』の被害に遭っている状況だ」と発言し、ハリー・ポッターの作者であるジョアン・ローリング氏と同様の状態であると述べたとのことです。

プーチン大統領は2022年3月25日に行った国民向けの演説において「ロシアという国およびその文化が西側諸国によって、歴史から排除され、文化的な作品すべてがキャンセルされつつある状況になっています」と語りました。ここでプーチン大統領が語った「キャンセル」という言葉は「キャンセルカルチャー」に該当します。

キャンセルカルチャーとは「個人や組織を一つの側面(または一要素)だけを取り上げて、その存在すべてを否定する」というもの。プーチン大統領はこの演説の中で、ハリーポッターシリーズの作者である J・K・ローリング(ジョアン・ローリング)氏を取り上げています。

「昨今では世界中で何億部も売り上げた(ハリー・ポッター)という本の著者であるローリング氏が行った発言でジェンダーフリーを謳う人々から支持されなくなったのです。そんな彼らが彼女の本を燃やしている映像はいまだに忘れられません」とプーチン大統領は語り、ローリング氏がトランスジェンダーの人々を否定する発言をおこなったことで作品全体が「キャンセル」されたとしています。

同大統領は「ロシアではそんなことはあり得ません」と語り、ロシア国民に対し、欧米諸国の印象を下げる発言を演説の中で行っていたようです。なお、ロシアのシンクタンクである「カーネギー・モスクワ・センター」のアンドレイ・コレスニコフ氏は「プーチン大統領のこのような発言は初めてのことではなく、過去に何度も欧米諸国を歪んだ目で見ており、自分なりの西側の現実を作り上げている」と述べています。

「このため、プーチン大統領は自分が悪いのではなく、西側諸国がロシアの価値観に対して戦争を起こしていると考えているようなのです」とコレスヒコフ氏は語り、今後も欧米諸国やウクライナとロシアの対話が成立するのは難しそうな状況にあることを示唆していました。

ちなみに、今回やり玉に上がってしまったローリング氏はプーチン大統領の発言をどう感じるかは定かではありませんが、記事作成時点で子ども向けチャリティ団体の「Lumos」と共にウクライナの子どもたちを支援するため寄付金を集めるためる活動を進めているようです。