「ロシア侵攻の影響」スウェーデンが「NATO加盟に向けた手続きを開始する」と発表、200年以上の中立を破る

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スウェーデン国会(リクスダーゲン)の与党である社会民主労働党は2022年5月15日に「北大西洋条約機構(NATO)加盟反対の立場を取りやめ、加盟に申請手続きを開始する」と発表しました。この歴史的な発表はフィンランドがNATO加盟申請を行った数時間後に行われたとのことです。

スウェーデンのマグダレナ・アンデション首相は(記事作成時点でも)ウクライナに対するロシア軍の侵攻が続いていることを受けて「スウェーデンは数日以内にNATOへの正式加盟に向けた申請手続きを開始可能な立場になります」と発表しました。記者会見で同首相は「もし、スウェーデンがNATOに加盟しなければ、私たちは『とても弱い立場』になってしまう」と続け、NATO加盟に向けて前向きな姿勢であることを述べました。

NATOへの加盟に向けた計画は2022年5月16日に行われるスウェーデン議会で議論される予定で、議会終了後に内閣から発表するとしています。スウェーデンは200年以上中立の立場を貫き、第二次世界大戦でも中立の立場を変えず、今日までいかなる軍事同盟にも加入することはありませんでした。

このため、今回の発表を受けて、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「(フィンランドとスウェーデンの)北欧の2カ国が加盟申請をすれば『歴史的瞬間』です。しかも、北欧諸国がNATOに加盟することで、私たちの安全保障が向上するだけでなく、(今回のロシアによる)侵略行為が報われることはないでしょう」と続け、今回のスウェーデンやフィンランドの動きはロシアへの良いけん制になるとしています。

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2022年5月11日にスウェーデンを訪れていたイギリスのボリス・ジョンソン首相は「イギリスは両国(スウェーデンとフィンランド)のNATO加盟の申請を強く支持します」と発言しており、両国のNATO加盟の後押しをしたいとのことでした。