2021年11月23日に行われたオークションで物理学者のアルベルト・アインシュタイン氏とミケーレ・ベッソ氏が共同で執筆した54ページにわたる相対性理論に関する手書きの原稿が1317万ドル（約15億2000万円）で落札されたことが明らかになりました。この金額は直筆による科学関連の文書としては史上最高額になるとのことです。
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この原稿は1913年6月から1914年初頭にかけて、アインシュタイン氏とベッソ氏が「アインシュタインが提唱する相対性理論の基礎となる方程式を検証する目的」で書かれたものです。オークションを主催したChristie'sによると、アインシュタイン氏によって書かれた文書が26ページ、ベッソ氏によって書かれた文書が24ページ、2人で書かれたものが3ページあるとのことです。
このような文書が遺されていたのはベッソ氏が「アインシュタイン氏の功績を後世に残したい」と考えて、保存していたためで、今回の原稿が明らかになったことで、一般相対性理論の基礎を示す貴重な原稿のうちの一つになりました。なお、今回オークションにかけられた文書の中には多くの余白が存在しており、余白部分にはアインシュタイン氏が興奮して書いたと思われる「stimmt!（ドイツ語で『やった』の意味）」などの落書きがされていることも確認できるようです。
画像: Reuters
Christie'sのオークションで本原稿の出品を担当したヴィンセント・ベルロイ氏は「アインシュタイン氏はほとんどメモを残さない人であったため、今回の原稿が『私たちの手元に届いたこと』だけでも素晴らしいものです」と語っており、メモを残さない人間が書いた「手書きのメモ」であるからこそ、オークションで高い金額で落札されたのだろうと推測していました。
これまでもアインシュタイン氏の遺した手書きの資料には高値が付く傾向にありました。2021年5月にアインシュタイン氏がライバルの物理学者に宛てた手紙には「質量とエネルギーの等価性」を示す同氏の有名な等式であるE=mc2が記述されており、オークションで120万ドル(約1億3800万円)で落札されたほか、2017年には同氏が東京のホテルのボーイに書いた2つの短いメモに150万ドル(約1億7300万円)で落札されています。
