火星の地表に「大量の水」が存在することが確認される

欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機であるエクソマーズが火星にある「太陽系最大の渓谷」として知られるマリネリス峡谷に大量の水が存在していることを確認しました。研究者によると4万1000平方キロメートルの範囲にある地表のうち、約40%が氷であるとのことです。

火星上空を周回し、地表の構造や火星の大気の構成を観測するトレ-ス・ガス・オービター(TGO)が取得したデータによると、マリネリス渓谷の中心にある「オランダ」とほぼ同一の広さであるカンドル谷と呼ばれう場所で異常な量の酸素と水素を検出したそうです。検出したものが水だった場合(おそらく水と思われますが)、火星上には「かつて生命が存在した」または「現在進行系で生命が存在する」可能性を示すものになります。

画像: 欧州宇宙機関

本研究に携わったロシア科学アカデミー宇宙研究所のアレクセイ・マラーホフ氏は「これは地球の永久凍土地帯と非常によく似ています。この地域は非常に低温であるため、土の下に大量の氷が眠っているものと考えられます」と語っています。また、研究を主導したイゴール・ミトロファノフ氏は「今回TGOが検出したものが酸素と水素であり、この地域の地表に水として存在しているのであれば、この地域の表面の約40%が水のようだ」と述べています。

なお、今回発見されたものが酸素と水素が水分子を構成しているのか、それとも地表面にある鉱物と化学結合しているのかは確定できていない状況であり、これを確かめるのにはさらに多くの観測データが必要になるそうです。

ESAのエクソマーズのTGOプロジェクトに携わっているコリン・ウィルソン氏は「火星に水が存在し、それらが『どこに』そして『どうやって』存在しているかを知ることができれば、かつて火星に豊富にあった水に何が起こったのかを調べられるようになります。また、火星に生息していたと考えられる生命の痕跡のほか、火星の初期の有機物の探索、火星での居住の可能性を模索するのに役に立つのです」と述べていました。