2021年12月2日にドイツのアンゲラ・メルケル首相は同国内の1日あたりの新規感染者の数が7万5000人を超えたことを受けて、新型コロナウイルスの抑制に向けた取り組みとして「ワクチン接種の義務化」に向けた検討を進めると発表しました。ドイツでは新型コロナワクチン接種完了率(2回接種済みの割合)が2021年12月1日時点で68%台と低く、目標にもほど遠い状況のため、接種率を引き上げたい狙いがあるようです。
ドイツでは2021年10月下旬から右肩上がりに新型コロナウイルスの感染者数が増加しています。このため、病院の病床数の逼迫も懸念されている状況から、メルケル首相は「国民全体で連帯行動しないといけない」と語っており、新型コロナワクチン接種の義務化のほかに、ワクチン未接種者の人は「店舗」「娯楽施設」等の立ち入りも強く制限する政策を検討すると説明しました。
ドイツでは2021年12月1日時点で人口の約68.6%(日本は77.4%)がワクチン接種を完全に終えていますが、同国の目標値である「75%以上の接種」を大きく下回っている状況です。こういった状況から、メルケル首相は2021年中に3000万回以上のワクチン接種を行うことや「学校でのマスク着用」「(対面での)会合における参加人数の制限」なども年内の目標として掲げています。
記事作成時点でヨーロッパでは新型コロナウイルスの感染者数が急増しており、ヨーロッパ各国で規制の強化に向けた取り組みが行われているようです。フランスでは2021年12月4日よりEU圏外の国から入国する人はワクチン接種の有無を問わず、入国時に新型コロナ感染有無の検査を受け「陰性証明」を提出することが義務付けられています。オーストリアでも新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、ロックダウンが行われていましたが、2021年12月11日まで期間を延長すると発表。ヨーロッパ各国で感染防止に向けた取り組みが行われています。
記事作成時点において、EU圏内に住む成人のワクチン接種率は77%となっていますが、EU圏内の全人口に対しては66%にとどまっており、EUでは約3分の1の人々(約1億5000万人)がワクチン接種を行っていない計算となります。このため、ドイツが抱えている問題はEU全体での問題としても置き換えることができるため、どのように今後ワクチン接種率を高めていくのかその政策に要注目です。