NYで「仮想通貨マイニング禁止」法案が提出、世界的なCO2排出制限のトレンドとなる可能性も

ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨を金銭取引なしに獲得するには「仮想通貨マイニング」を行う必要があります。このマイニングを効率良く行うには消費電力量の高い「ビデオカード」を使う必要で、多くの人がマイニングを金銭取得手段にすると、電力消費が大幅に増加する懸念があり、CO2排出量の制限が呼びかけられる昨今においては大きな問題となり得ます。そこで、ニューヨーク州の上院議会は「CO2排出量制限」に向け、仮想通貨マイニングを禁止する法案を提出したとのことです。

2021年5月3日にニューヨーク州の上院で可決された法案は「仮想通貨マイニングが気候変動や環境への影響が完全に解明されるまで、州内での仮想通貨マイニングを3年間停止すること」となっており、事実上の仮想通貨マイニングの禁止法案であると言えます。

まだ、上院で提出された段階のため、本当に法律が施行されるまでには「NY州議会での可決」と「州知事の承認」が必要です。仮に法律が施行されることになっても、記事作成時点で提出された法案には「いくつかの変更」が入ることになると思われます。

提出された法案に記載された禁止対象には「仮想通貨マイニングセンター」となっており、「大量のコンピューターを使用して大規模に仮想通貨マイニングを行う施設」のみが対象のように見えます。しかし、「マイニングセンター」という言葉の定義が明確ではないのです。このため、個人の仮想通貨マイニング用のコンピューターも「マイニングセンター」に含まれる可能性があります。

ニューヨーク州ではCO2排出量を将来的に85%削減することが義務付けられており、その一環として今回「仮想通貨マイニング」が挙げられました。これは「仮想通貨ネットワーク全体のCO2排出量が年間で約53メガトンに達していて、これはスウェーデンが過去に記録した累計排出量に等しい」という調査結果が提出されたことが背景となっています。

このため、今後も世界的なCO2排出量の削減に向け、「仮想通貨マイニング」が槍玉に挙げられる可能性が高いと思われます。