Googleの新しい広告実装「FLoC」が広告除外ブラウザ「Brave」に完全否定される

ユーザーが興味を引く広告を表示するためにはユーザーのWebサイトの表示履歴を追う必要があります。記事作成時点ではCookieを用いて、表示履歴を追うことが多いですが、個人情報も取得されてしまうという問題点がありました。そこで、Googleは個人情報を取得できない「FLoC (Federated Learning of Cohorts)」を開発し、Google Chromeで試験運用を開始しています。しかし、広告除外ブラウザ「Brave」はFLoCを認めないとして、同ブラウザから除外する方針を示しました。

「Brave」はプライバシー保護を目的としたChromiumベースのWebブラウザであり、Cookieを使用してユーザーのWebサイト表示の履歴を追うことは標準機能でできないようになっています。このため、新たにGoogleが開発した「FLoC」を歓迎すると思われていましたが、Braveの開発チームは「Cookie方式よりもたちが悪い」として、反対を表明しています。

FLoCはGoogle Chromeだけの機能ではなく、オープンソース版のChromiumにも一部は実装されているのが現状。そこで、Braveの開発チームはChromiumのソースコードを見直し、FLoCの機能を完全に削除したとのこと。FLoCを除外したBraveは2021年4月19日の週にはリリースされる予定とされています。

画像: Wikimedia Commons

同開発チームは「FLoCはブラウジング履歴をCookieに頼らずに広告主やWebサイトと共有する機能です。このため、私たちのブラウザを使うユーザーにとっては取得されたくない情報であり、これを許すのはBraveの存在意義を否定するものです」と語り、FLoCはそもそも受け入れることはできないとしています。

Googleが開発したFLoCを否定しているのはBraveだけではありません。デジタル社会での自由な言論の権利保護を目的に活動する非営利組織の電子フロンティア財団(EFF)もFLoCについては否定の立場です。同団体においても、この広告実装が「本来のWeb通信では取得できない方法でユーザーのWebサイトの表示履歴を追えてしまうため、現行のCookie方式よりもたちが悪い」としています。

EFF以外にもuBlock OriginやDuckDuckGoでもFLoCをブロックする対応を行っています。