「小惑星が地球に衝突」最悪のシナリオに対して「解決策がない」ことがNASAの演習で判明

地球に接近する小惑星に対して、衝突の危機を回避するような題材の映画がよくありますが、本当にこのような事態が起きてしまったとき、「現実ではどのように対処するのだろう?」と考えたことがある人はいるはず。実際にNASAが6カ月後に地球に小惑星が衝突するシミュレーションを行ったところ、危機回避する手段がないことが明らかになりました。

このシミュレーションはNASAと世界中の研究機関が集まり、小惑星が地球に衝突するという壊滅的な事態に対して、どのような対応を行うか「机上での演習」として行われたものです。あくまでも、このシミュレーションは万一の事態が発生した場合に、科学者がどのような準備を行うか、準備に必要な時間はどれくらいなのかを確認することを目的としています。

この演習で用いられたシナリオは「約3500万マイル(約5630万キロメートル)離れた場所にある謎の小惑星が地球に向かって接近し、6カ月後に衝突する」というものです。演習では「初日に地球に接近する小惑星の大体の大きさ」「2日目にアフリカ北部〜ヨーロッパ全域のどこかに衝突することを確認」「7日目にはドイツ〜チェコの間に衝突することを確認」といったように、日を追う毎に新たな情報が追加される方式が取られています。

この演習に参加した科学者たちは「確認から6カ月という期間で、小惑星が接近する危機的状況を回避する明確な手段は存在しない」と結論づけました。科学者たちの声明によると、記事作成時点の技術力では6カ月という短期間で宇宙船を打ち上げるようなことはできないとのことでした。

現時点で考えられる方法として、小惑星に核兵器を打ち込んで破壊するという方法もありますが、大質量の小惑星に対しては効果がないと見られており、今後の技術の発展で解決されることを願うばかりです。