「うつ病に笑気ガスが効く?」亜酸化窒素のうつ病効果を示す研究が登場

うつ病にかかった人のうち3人に1人の割合でうつ病治療に抵抗感を感じるそうです。しかし、人が吸引すると陶酔効果を持つ笑気ガス(亜酸化窒素)がうつ病治療に抵抗感を持つ患者に効果があるとする研究結果が発表されました。

ワシントン大学の精神医学の教授を務めるチャールズ・コンウェイ氏率いる研究チームが2021年6月9日にScience Translational Medicine誌に掲載した研究結果によると、笑気ガスと酸素の混合物を1時間吸入した患者とプラシーボ治療を行った患者と比較して、うつ病の症状が軽減されたようでした。

実際に研究チームが行った研究はうつ病治療に抵抗のある患者24名を集め、「濃度25%の亜酸化窒素ガスを1時間吸引するグループ」「濃度50%の亜酸化窒素ガスを1時間吸引するグループ」「亜酸化窒素ガスと称して酸素ガスを1時間吸引するグループ」の3グループに分けて、約1ヶ月間隔で3回の治療を行いました。

治療完了後2週間経過した患者を調査したところ、亜酸化窒素ガスを吸引したグループはうつ症状が軽減されていたことが明らかになりました。効果自体は25%の濃度でも50%の濃度でも変わらなかったとのことですが、後者は一部の患者で吐き気を感じた患者がいたそうです。

24人の参加者中、計3回の治療とその後の検査を受診したのは20名となりましたが、うち17名が抑うつ症状が改善され、重度のうつ症状が中程度のものに改善したことが報告されています。研究チームは今後はもっと大人数の患者を集めて、抗うつ剤であるエスケタミンと亜酸化窒素、プラシーボ治療を受けた結果がどのように変わるか検証したいとしています。