蚊をエッセンシャルオイルで撃退する方法が研究中、中には非常に効果が高いものも

蚊は地球上に存在する生き物の中で、最も恐ろしい昆虫の1つとされており、世界保健機関(WHO)の調査によると、2020年には蚊が媒介する病気の1つであるマラリアだけで62万7000人もの人が命を落としています。記事作成時点では蚊の撃退に殺虫剤などが使用されていますが、植物から産出される天然のエッセンシャルオイルで撃退する方法が研究されているとのことです。

天然由来の環境に優しい成分を使用した方法の模索がされるようになったのは「合成殺虫剤」などの化学薬品の影響が起因しているようです。現在、蚊を遠ざけるために使用されている化学物質は人間だけでなく、他の動物にも影響を与えています。また、蚊もこれらの化学薬品に対して徐々に耐性を持つようになってしまっているため、公害の原因の1つとされているのです。

このような問題を解決するため、エジプトのバンハー大学で昆虫学の研究を行っているモハメド・バズ氏率いる研究チームは化学薬品ではなく、オーガニックで環境に優しい代替品の研究を積極的に行っています。この研究の中で32種類のエッセンシャルオイルが蚊の幼虫や成虫に効果があることが確認されています。バズ氏らの研究ではエッセンシャルオイルの有効性を「対象の蚊が50%死ぬまでに要する時間」と「48時間後の蚊の総死亡率」を測定しての評価を実施。また、対象の蚊として、マラリアを媒介するアカイエカを設定しました。

この結果、タチジャコウソウを原料とする「ガーデンタイム」や「緑茶オイル」や「ティーツリーオイル」の原料として知られるチャノキがアカイエカの幼虫を100%死滅させる効果があることが確認されました。また、「スイートバイオレット」「ディル」「ブラッククミン」オイルがアカイエカの成虫を死滅支えるのに大きな効果があることも判明しているそうです。

ちなみに、上記の「緑茶オイル」「ティーツリーオイル」の抽出に使用されるチャノキについてはアカイエカを遠ざける効果も非常に高いことも確認されています。また研究チームはこれらの成分と既存の殺虫剤の成分を混合させると、さらに高い効果が得られる可能性が高いことを示唆しています。