「環境を考えるのなら墓は不要?」遺体の堆肥化を合法化する州がアメリカで増加中

画像: Recompose

人の遺体処理において、火葬や埋葬は環境影響の大きい行為とされています。記事作成時点において、アメリカなどの欧米諸国では環境問題に対してセンシティブになっており、遺体の処理についても議論されるようになっています。この結果、アメリカでは遺体の堆肥化を推し進める動きがあり、2021年6月15日にオレゴン州で合法化されたとのことです。

遺体の堆肥化については2019年にワシントン州がアメリカで初めて採用して以来、2021年5月にコロラド州、そして、6月15日にオレゴン州が合法化したように、徐々に広まりつつあります。この動きはアメリカ国内の環境保護を訴える人たちの「終末産業の健全化」を求める声が高まったことがきっかけでした。

一般的な遺体処理には「火葬」と「埋葬」の2種類あります。火葬は遺体を焼くのに大量のエネルギーを消費するだけでなく、大気中に有害物質や二酸化炭素を放出し地球温暖化の原因となります。また、「埋葬」については、予めホルムアルデヒドで防腐処理を遺体に行って地中に埋めるため、近隣の土壌や水路に有害物質が溶出することがわかっています。

これに比べてRecompose社などが行っている「堆肥化」は遺体を木片や藁などの有機物と一緒に容器に入れ、数週間かけて加工することで、栄養価の高い土に分解することが可能です。これらの土を遺族に届けることもできれば、植栽などに活用することができるようになります。

こういったことからも、ニューヨーク州やデラウェア州でも「遺体の堆肥化」に関する議論が行われており、数ヶ月以内に法案が提出される可能性も指摘されています。このため、「地球環境にやさしい死に方をしたい」と考えている人にとって、新たな選択肢が気軽に取れる時代が近くやってくる可能性があります。あくまで日本にもこの波がやってくれば……の話ですが。