アメリカの平均寿命が「第二次世界大戦後」最大の落ち込みを記録、新型コロナの影響か

2021年7月21日にアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が発表した2020年の統計結果によると、アメリカの平均寿命は1年間で最大の落ち込みを記録したとのこと。この数字は第二次世界大戦以来、最大の低下となったことが確認されました。

CDCが発表した資料によると、2020年のアメリカの平均寿命は77.3歳となっており、この数字は2019年に記録した78.8歳よりも1.5歳低下しています。この数字を大きく後押ししていると考えられるのが黒人の平均寿命の低下が原因とみられていて、2019年の平均寿命が約75歳であったのに対し、2020年は72歳を下回る水準となっています。また、平均寿命の高いラテン系の人々の寿命も81.8歳から78.8歳に低下し、この値も影響を与えていると見られます。

今回の統計資料の作成に携わったエリザベス・アリアス氏は「昨年は新型コロナウイルスのパンデミックにより、アメリカは多大な死者数を出したため、大きく低下することが見込まれていましたが、改めてデータとして見ると『大変だ』と感じました」と述べています。

平均寿命は一般的に地域社会における医療や衛生水準を示す指標として用いられるものです。このため、2020年に生まれたから余命が短くなるというものではなく、「特定の期間の死亡率の状況を生涯渡って経験したときに、余命にどのような影響を与えるか」を示します。

実際にアメリカでは2020年初頭に起きた新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって以来、60万人以上の人々が新型コロナの影響で亡くなっています。CDCによると、新型コロナウイルスの影響は黒人とラテン系の人々により影響が強く、白人と比較して、入院する可能性が3倍、死亡率が2倍に相当するとのことです。

このため、CDCは報告書の中で平均寿命が大きく低下した要因として「新型コロナウイルスの蔓延」を挙げていますが、この他にも「不慮の事故」「殺人」「糖尿病」「肝臓病」など、様々な原因が影響していると記載しています。しかし、幸か不幸か2020年は「がん」「心臓病」「自殺」などの要因による死亡率が低かったことで、「平均寿命の低下がこの程度で済んだ」との見方もあるようです。