中国政府がオリンピックの生放送で「実際と異なる地図が使用された」としてアメリカNBCを非難する

画像: Alistair Ross

2021年7月23日に東京オリンピックが開幕し、開会式が世界各国で中継されました。このとき、アメリカのNBCUniversal(NBC)の放送で中国選手団が入場した際に表示された中国の地図に「台湾」「チベット」などが含まれていませんでした。これに対し、中国政府は「正しい地図を出していない」としてNBCに対して、非難声明を出したとのことです。

アメリカと中国の関係は香港、新疆ウイグル自治区の人権問題や新型コロナウイルスの起源に関する新たな調査が行わることなどの問題で緊張状態にあります。そんな中、NBCのオリンピック放送で意図的と思われる地図の誤りに対して、中国政府はニューヨークにある中国領事館を通して「地図は国家の領土を表現したものであり、国家の主権と領土保全を象徴しています。私たちはNBCがこの問題を正しく認識し、誤りを修正する措置を取ることを強く求めます」とNBCを非難する声明を出しました。

なお、この声明には放送内で映し出された地図内の「どの部分が間違っていたのか」を具体的に述べておらず、どういった点が不完全であるかについては明らかにされていません。しかし「オリンピックを政治利用や自己PRのために利用しようとする試みは絶対に成功しません」とも声明で述べられており、NBCだけではなく、アメリカ政府にも向けられた内容とも取ることができるのです。

しかし、中国の逆鱗に触れそうな行為は日本のNHKの放送でも行われていました。オリンピックでは台湾の選手団を「チャイニーズ・タイペイ」と表記されますが、NHKのアナウンサーは正式チーム名ではなく「台湾」と発言。しかし、中国政府はこの発言には特に非難声明を出していないことから、今回の声明は「アメリカとの緊張関係の大きさ」が色濃く出ているようにも考えられます。

ペンギン議長の一言
台湾については中国とは別チームとして出ているので非難対象ではないのかも知れませんね。おそらく、地図の誤り(台湾が含まれていないこと)についても、そこまで厳しくないのかも……