「脇から母乳が出る」体質の女性、その原因とは

画像: The New England Journal of Medicine

出産は女性にとって、体に様々な変化をもたらしますが、とあるポルトガル人の女性の場合は「その変化」が顕著で脇から母乳が出るようになりました。彼女を診察した医師によると、これは多乳房症による影響であるとのことです。

多乳房症は胸の乳房以外に別の「乳房組織」を持つ人を指し、1999年にMayo Clinic Proceedings誌に掲載された論文では「最大6%の女性がこのような体質になっている」としています。この余分な乳房には「乳首」「乳輪」といったものが含まれることもあれば、単純な乳房組織のみが存在する場合もあるようです。

この症状は胎児の発育過程において、体の左右の脇の下から鼠径部まで続く乳腺に沿って、乳腺の前駆細胞が形成される際に多乳房症が発症することがあることが、2014年にAmerican Journal of Roentgenologyに掲載された論文で述べられています。なお、この論文では多乳房症の中で、比較的多く乳房化する場所は「脇」であるようです。

今回のポルトガル人女性のケースでは「出産後2日目から右脇のあたりに痛みを感じ始めた」と医師に告げました。医師が彼女を診察したところ、右脇に「丸くて固い塊」を確認し、塊を押してみたところ「白い分泌液」が出ることが確認されました。このため、多乳房症と診断された後、女性は医師から「乳がん検診の際は脇にもがんがないかを検査する必要がありますよ」と伝えられたそうです。

画像: The New England Journal of Medicine

彼女のように 胸部の乳房以外の乳房から「母乳が出るケース」は稀ではあるものの確認されています。1999年の論文では脇の下に乳房を持つ18歳の女性が「脇に違和感」を覚えていましたが、ポンプを使って、8週間に渡って脇の乳房に溜まった母乳を吸引して、症状を改善したことが報告されています。