「下剋上だ!」ヤギを襲ったヒグマが「角で刺され」死亡してしまう

2021年9月4日にカナダで人気のハイキングルートのすぐそばでグリズリーの死体が発見されました。カナダの国立公園を管理している政府機関のParks Canadaによると、このグリズリーはシロイワヤギを襲っていた際に喉元をヤギの角で刺され絶命していたことが明らかになったとのことです。

死体を発見したのはハイキングルートを散策していた人で、このグリズリーは体重70キログラムのメスのグリズリーであることがわかっています。発見した死体を放置すると、死体を捕食しようとする動物が群がることで、ハイカーに危険が及ぶ可能性があるため、公園から別の場所に運ばれました。

その後、グリズリーの死因を調べるために死体解剖が行われましたが、首と脇の下を「何かで刺された」ような傷跡を確認したものの、当初は何で死亡したのかがわからなかったようですが、徐々に実態が明らかになったそうです。Parks Canadaに務め野生生物の生態学者でもあるデイビッド・ラスキン氏は「法医学的な解剖の結果、グリズリーが絶命に至ったと思われる傷はシロイワヤギの角の大きさと形状が一致することを確認しました」と説明しています。

基本的にグリズリーは獲物の首の後ろから頭部、肩を狙う傾向があり、主に上部から攻撃します。死亡したグリズリーもシロイワヤギの頭部から襲いかかったとみられますが、その際にヤギの角が喉と脇の下に刺さり、ヤギが奇跡的に勝利することになったようです。ラスキン氏は「グリズリーに襲われたシロイワヤギが勝利する例は過去にも確認されている」と語っており、そこまで驚くべき勝利ではないとしています。

オスのシロイワヤギは体重が136キログラムに達するほど巨大であること。そして、今回ヤギを襲ったメスのグリズリーは70キログラムと通常のグリズリーよりもかなり小柄であったことから、絶対的優位な状態ではなかったと見られ、それが今回の下剋上とも言える結果を生んだのかもしれません。