「お前に自由はない」父親が恋愛結婚をした娘の家を放火、娘含む7人が死亡する惨事に

2021年10月17日にパキスタンのパンジャーブ州の都市ムザファルガルで放火事件が発生し、その家に住むフォージア・ビビさんとその子どもを含む計7人が死亡するという痛ましい事件が発生しました。放火殺人の容疑がかけられている男はビビさんの父親で「ビビさんが恋愛結婚をしたこと」が許せず、名誉殺人を行ったのではないかと考えられているとのことです。

この事件を起こしたとされるマンズール・フサイン容疑者はその息子のサビル・フサイン容疑者と共謀して、自身の娘であるビビさんとクルシド・マイさんの夫妻の家を放火しました。この放火により、ビビさんとその子どもである生後4カ月の男の子、マイさん夫妻と2歳、6歳、13歳の子どもの計7人が亡くなりました。

容疑者2名の犯行だと断定したのはビビさんの夫のメーブーブ・アフマドさんで、同氏が出張から帰宅した際に「家が燃えている」ことに気づき、現場近くからマンズール容疑者とサビル容疑者が去っていくところを目撃したとのこと。警察は「フサイン家は家父長制の思想を強く持っており、ビビさんの恋愛結婚がどうしても許せなかったため、名誉殺人に及んだとみられます」と語っています。

パキスタンでは2016年に法律が改正され、「名誉殺人」が厳罰化されるようになりました。しかし、厳罰化されて以降も名誉殺人自体は減っておらず、毎年1000件程度の事件が発生しているとのこと。なお、同国ではこの行為を「間違った行為」であると考える風潮はそこまで強く芽生えておらず、名誉殺人の根絶にはかなりの時間がかかると見られています。

パンジャーブ州のウスマン・バズダー州知事はこの事件について「あらゆる側面から」調査すると述べており、フサイン容疑者の関与が最も疑わしいものの、他の犯人によるものや事故の可能性も含めて、総合的に捜査するとしています。