「ダイエット目的で体を動かしたのに」運動後に体重が増えることがある理由とは

体重を減らすため、意気揚々と運動を始めたのに、体重が増えてしまった経験のある人は多いはずです。なぜ、運動を行ったにも関わらず、体重が増加してしまう人がいるのかLive Scienceが説明しています。

オーストラリアのシドニー大学で「身体活動とデジタルヘルス」の教授を務めるコリーヌ・カイヤール氏は「運動後に体重が増えてしまう原因は『いくつかの要因』が合わさっていると考えられます」と語り、「ただし、体にとってはポジティブなものであるため、運動を止めると判断するような材料ではありません」と続けています。

まず1つ目の原因としてカイヤール氏が挙げたのは「食事内容」です。同氏によると「運動をしたからといって、『もっと食べても大丈夫』と考える人がいますが、運動で消費されるエネルギー量はそこまで多くないため、ジャンクフードを摂取して得たカロリーを相殺するのは難しいです」とのこと。このため、運動を始めたからと行って、食事を多めに摂って良いとする考えはやめた方がいいとしています。

カイヤール氏はここからの理由が運動直後に体重が増加してしまう原因であるとしています。2つ目に同氏が挙げた理由は「筋肉の修復によるもの」です。これまであまり運動をしていなかった人が体を動かすと、必要以上に筋肉を酷使してしまいます。これにより筋繊維に傷がついてしまい、体は傷を修復するために筋肉に栄養を送ります。これが筋肉痛となり、長期的には筋肉の成長につながるのです。

しかし、この筋肉痛は体にとっては炎症であると認識されることがあります。カイヤール氏は「炎症と扱われるということは患部が腫れるということです」と語り、このむくみ部分に体内の水分が溜まってしまい、これが運動後の体重増加を引き起こすことが考えられるとしています。

これ以外にもカイヤール氏は「体内の血液量の増加」も要因として挙げられるとしています。基本的にランニング等の有酸素運動をすると、体内の血液量が増加することがあります。同氏はこの現象について「体内の血液量が増加することは有酸素運動をする能力が向上したことを表します」と語っています。実際に血液量が増加すると運動中に体内に供給される酸素量が向上するため、より強度の高い有酸素運動を行うことができるようになり、スタミナも向上します。

カイヤール氏は食事内容以外に運動後に体重が増える要因として「筋肉の炎症」「血液量の増加」「(年単位のトレーニングによる)筋肉量の増加」を挙げており、これらが複合することで体重増加の現象が発生するとのこと。しかし、同氏は「体重が増えたといっても、これらの理由で増加したということは、体はポジティブな変化をしているだけなので、このまま運動を続ければ、健康的な筋肉と代謝の向上が期待できるのです」と結んでいます。