マイクロロボットによるマウスの脳腫瘍治療が成功

脳腫瘍は腫瘍のできる部位が脳であることから、手術による摘出難易度が高く、治療が困難です。特に悪性腫瘍の場合は5年生存率が10%ほど、全摘出できたとしても、再発してしまった時の平均余命は6ヶ月程度と深刻な病気です。そんな中、マウスの実験ではあるものの、血管内にマイクロロボットを投入して、治療する実験が成功したとのことです。

中国のハルビン工業大学とハルビン医科大学の研究チームが「血液脳関門を通過しても免疫系に検出されずに細菌と戦うことができる『好中球』の能力と、磁気マイクロスイマーを組み合わせることでマウスの脳腫瘍治療が可能なことを確認しました。

研究チームはこの好中球と磁気マイクロスイマーを組み合わせたものを「ニュートロボット」と名付けています。このニュートロボットには「抗がん剤」を持たせていますが、そのままでは好中球が腫瘍まで持ち運ぶことができないため、大腸菌でコーティングすることでそれを可能にしています。

実験では脳腫瘍の病気のあるマウスを2種類用意し、片方は「治療は一切行わないマウス」もう片方は「マイクロボットを投入したマウス」を観察したところ、後者の方が長く生存することを確認しています。

ただし、このまま人体の治療に活かすことができず、まだまだ多くの課題が残されています。その中でも大きな問題とされているのは「人がマウスよりもはるかに大きい」ことで、人体では磁気を使った「ニュートロボット」の移動が困難になるとのこと。しかし、マイクロロボットと好中球を組み合わせるアイデアは今後の治療の進展に大きな期待が寄せられています。