「Xデーは約1万年後」2つの超巨大ブラックホールの衝突で宇宙全体の時空がゆがむ可能性が指摘される

画像: YouTube(Caltech)

2022年2月23日にThe Astrophysical Journal Lettersに掲載された論文によると、地球から約90億光年離れた位置にあるPKS 2131-021と名付けられた2つの超大質量ブラックホールがまるでダンスをするかのように互いを周回しあっているとのこと。しかも、これらの天体は約1万年後には合体すると見られていて、合体後は宇宙全体の時空に影響を与える現象が発生する可能性が指摘されているようです。

宇宙に存在する多くの銀河の中心には太陽の何億倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールと呼ばれる天体が存在しています。アメリカ航空宇宙局(NASA)は宇宙最大のブラックホールと呼ばれる天体は一度は別のブラックホールと合体して起きた結果である可能性が高いと考えており、この仮説を立証するのに今回のPKS 2131-021が役立つ可能性があるとのこと。

PKS 2131-021はブレーザーと呼ばれるタイプの超大質量ブラックホールで、いわゆる地球から目で見えるタイプのブラックホールです。超大質量ブラックホールは吸い込んだエネルギーを特定方向に放出しているのですが、PKS 2131-021はこれがたまたま地球の位置から見えるため、まるで恒星のように見ることができます。

今回発表された研究では地球から確認できる約1800個のブレーザーの明るさを測定していたところ、PKS 2131-021のみ明るさが一定間隔で変化していることが判明。しかもその変化の周期が予測可能なレベルで一定のリズムをきざんでおり、この天体のそばにはもう1つの大きなブラックホールが存在し、ダンスを踊るかのように互いの周りを周回し合っている可能性が確認されました。実際の周回し合うイメージ映像はYouTubeのCaltechが公開しているムービーで確認可能です。

研究者の予想通り、このブレーザーの明るさの変化がPKS 2131-021と同等規模のブラックホールによる影響とすれば、これまでに発見されたブラックホール連星の中で2つ目となります。最初に発見されたブラックホール連星(候補)とされているのは地球から約35億光年離れた場所に位置しており、互いのブラックホールを9年ごとに周回しているそうです。

このため、今回のPKS 2131-021は周期が2年と非常に短いことから、かなり近い位置に存在すると見られており、これらのブラックホールは99%の高い確率で合体すると見られています。Xデーとされているのは約1万年後で、このときにはアルバート・アインシュタインが予言した重力波によって、宇宙全体の時空が歪む現象が発生するとのこと。

私たちがこの目で時空が歪む現象を見ることはないと考えられますが、見られる生命体がいたとしたらラッキーでしょうね。

ペンギン議長の一言
1万年後に重力波が発生したとしても、地球にその重力波が届くのは90億年後の話なので、地球が太陽に飲み込まれて消滅したあとの話になりそうです。なので、地球人が時空の歪みを目にすることはないかもしれませんね。