2022年4月14日にインドネシアで性犯罪の規制を強化する法律が可決され、性犯罪を犯した人への罰則の強化と被害に遭った人へのフォローアップする仕組みも強化することが決まりました。このような法律が可決されるのはイスラム教徒が大多数を占める国の中では初で非常に注目されていますが、今回の規制の中にレイプ犯罪は含まれないとのことです。
インドネシアで女性初の国会議長を務めているプアン・マハラニ下院議長は「今回の法律はすべてのインドネシア女性と国民への贈り物です」と語り、法案の審議開始から6年間経ってからの法案可決に涙を流しながらコメントを行いました。
同氏は「今回の法律の施行により、性犯罪事件が解決されること切に願っています」と述べました。今回可決された法律は「性犯罪を犯した被告人の処罰の強化」と「被害に遭った人への心のケアとして、仕事復帰までに一定期間の休息を認めたり、リハビリに向けたプログラムに参加できる」ことが盛り込まれているそうです。
今回の法律で対象となっている性犯罪は「セクシャルハラスメント」「強制避妊」「強制的に不妊手術を受けさせること」「強制結婚」「性的虐待」「サイバー犯罪」などが対象。量刑は犯罪行為によって異なるものの、性的虐待の場合は12年以上の懲役、(児童相手や強姦を行った犯罪者と被害者の間で結ばれる)強制結婚の場合は9年の懲役刑となるそうです。
今回可決された法律はインドネシアのようにイスラム教徒が大多数を占める国では初のことであり、非常に画期的なものと言われています。同国のジェンテラ法科大学の法律専門家のアスフィナワティ氏は「今回の法律は大きな一歩となるものです。この法案で示されている性犯罪の範囲が狭い(レイプが含まれていない)問題がありますが、国として正しい方向に進んでいるのは事実です」と語り、今回の法律は大きな変化であると述べています。
これまで、インドネシアでは性犯罪を犯した犯人に対して、罰則自体がほとんど存在していませんでした。このため、性犯罪の発生件数が年々増加している傾向があります。また、政府としても今回の法律にレイプが含まれていないことは認識しており、新たな罰則規定に向けた取り組みにも乗り出しています。インドネシアの今後が要注目です。