習近平氏、アメリカのバイデン大統領に「ペロシ氏を台湾訪問をやめさせろ」と要請していたことが判明

画像: Flickr (李 季霖)

2022年8月3日、中国の人権問題等を強く指摘していたアメリカの下院議長を務めるナンシー・ペロシ氏が台湾(中華民国)を訪問。この1件で中国は台湾に対して輸入品目を制限したり、台湾近海で軍事演習をするなどの行為を行ったことが知られています。そんな中国ですが、訪問直前に行われたアメリカとの電話会談の席で習近平氏がバイデン大統領に「ペロシ氏の台湾訪問を中止させろ」との警告を送っていたことが明らかになったとのことです。

中国の最高指導者の習氏とアメリカのバイデン大統領の電話会談はペロシ氏が台湾を訪問する直前の2022年7月28日に行われました。この席でペロシ氏が4月から予告していた台湾訪問を阻止するよう習氏がバイデン大統領に要請していたのです。

中国にとって台湾は自国の領土の一部と考えており、独立国家となっている台湾の現状を良しとは思っていません。このため、中国は台湾に対して強硬的な姿勢をとっており、日本を含む多くの国に「台湾(中華民国)を独立国家として認めさせない」ような対応を取っているのが現状。

今回のペロシ氏のように各国の高官による台湾訪問を許可させてしまうと、台湾自体の国際影響力が高まってしまうことから、中国は避けたいと考えていたのです。当然、習氏は会談でペロシ氏の台湾訪問を中止にするよう要請しましたが、バイデン大統領は「ペロシ氏は議長と言えど、下院議員の1人であり、外遊については自由に決定する権利を持っている」と説明して拒否。台湾訪問が実現することとなりました。

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ペロシ氏は「中国は台湾への視察や訪問を拒否したり、(国際会議などへの)何らかのイベントへの台湾の参加を拒否したりすることはあるかもしれません。しかし、私たちの場合は訪問を中止して、台湾を孤立させるようなことはしません」として、下院議長の台湾訪問を止める術は中国は持っていないと述べていました。

当然ながら、習氏の要請をバイデン大統領が断ったことで、アメリカと中国の関係に軋轢が生まれそうではあったのですが、両氏は翌日にも電話会談を実施。この電話会談の場でバイデン大統領は大統領就任後初となるアメリカと中国の直接会談の場を設けることが決定されたとのことです。