「ワクチン未接種者は外出禁止」新型コロナ感染者急増中のオーストリア、異例のロックダウンを実施

日本では新型コロナウイルスの新規感染者数が落ち着いている状況ですが、ヨーロッパでは感染急増している国があるのも事実です。オーストリアでは記事作成時点から直近1カ月で新規感染者数が1万人近く増加しており、同国政府は「新型コロナワクチン未接種者」を対象にロックダウンを実施するとのことです。

このロックダウンは2021年11月15日から開始され、10日間限定で行われます。対象者は13歳以上のワクチン未接種者とされており、12歳以下の子どものほか、新型コロナウイルス感染から回復した人には適用されないようです。対象者はホテル、レストラン、劇場、スキー場でのリフト利用が禁止されます。なお、対象者であっても、通勤や生活必需品の購入など、限られた場合での外出のみは可能です。

オーストリアでは2021年11月13日時点で約64.3%の人が(2度の)ワクチン接種を完了している状態であり、約3分の1の人々はワクチン接種を行っていない状態です。この水準はヨーロッパ諸国でもかなり低い値となっており、国民の多くが「新型コロナワクチンに対して懐疑的な印象を持っている」といえる状況にあります。

画像: Flickr(GoToVan)

そんな中、直近1週間で10万人あたりの感染率が815人と非常に高い水準となってしまったオーストリアは近隣のドイツへの入国の際に検疫が必要になるなど強い制限がかけられる状況です。そんな中、オーストリアのアレクサンダー・シャレンベルク首相は2021年11月14日に行われた記者会見で「ロックダウンはワクチン未接種者がワクチン接種者と接触して、新型コロナウイルスを移されないようにするための対応である」と述べています。

なお、オーストリアの首都ウィーンにある首相官邸前には数百人の人々が集まり「私たちの体や意思は自由である」とする横断幕を掲げたデモ活動が行われており、対象者を限定してのロックダウンに批判の声が集まっています。このロックダウンが10日間きっちり行われるかどうかも不透明な状況です。