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記事作成時点から約3週間前にロシアによるウクライナ侵攻が開始して以来、ますます核戦争の脅威が高まっています。これは2022年2月27日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領が同国の核戦力を扱う部隊に対して「厳戒態勢」を置くよう命じたことがきっかけとなったからなのですが、実際に世界に核兵器は何発存在しており、どの国にどくらいあって、威力はどの程度あるのでしょうか。数多くの科学ニュースを取り扱っているLive Scienceが説明しています。
■ 核兵器は世界中にどれくらいの数あるのか？
アメリカとソビエト連邦（ソ連）の間で行われていた冷戦(1945年2月～1989年12月)終結後から核兵器の数は非常に少なくなったとされています。核兵器備蓄量が最盛期だった頃はアメリカが3万1225発の核兵器を保有していました。また、1991年のソ連崩壊時にはソ連内に約3万5000発の核兵器が存在していたそうです。
しかし、世界の軍備に関する調査を行うArms Control Associationによると、2022年1月現在、ロシアには6257発の核兵器を保有していると見られており、またアメリカは5550発の核兵器の存在を認めているとのことです。
冷戦終結後は核軍縮の方向に進んでいたのですが、2021年時点では核保有国で核兵器の数が年々増加している傾向にあるそうです。アメリカ科学者連盟のマット・コルダ氏は「具体的な数はわかりませんが、中国、インド、北朝鮮、パキスタン、イギリス、ロシアのような核保有国は核弾頭の数を増やしているように考えられる」と述べています。
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■ 核兵器はどのくらいの時間で発射できるのか？
コルダ氏によると「核兵器の発射にかかる時間は国によって異なる」と語っており、アメリカとロシアは一部の核兵器を15分以内に発射できる準備を整えているとしています。即時発射できる核兵器の数はアメリカとロシア共にそれぞれ約900発程度存在する可能性があるとのこと。
また、中国やイスラエルなどのその他の国々では核兵器を倉庫内に保管しているようです。「このため、発射するにはまず、倉庫から取り出す作業から始める必要があり、準備に数日から数週間程度の時間を要するかも知れない」とコルダ氏は述べています。またイギリスでは潜水艦などに常時配備しているケースもありますが、標的のセットがされていないため、準備に数時間から数日はかかると見られています。
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■ 核兵器はどの程度の威力があるのか？
核兵器は兵器によって破壊力に差があります。記事作成時点でアメリカが保有している核兵器の中で最も強力なものはB83で、その威力は1945年に長崎に投下された原子爆弾の60倍の威力を持っています。なお、アメリカはこのB83を650発持っていることが確認されているのです。
なお、過去に存在した核兵器で最も強力なものはソ連のツァーリ・ボンバで実際に実験に使用されたもので威力は50メガトンとされており、長崎に投下された原爆の約2500倍の威力があることが確認されています。なお、ツァーリ・ボンバはソ連の軍事力を誇示する目的で作成された経緯があり、それ以降、このような大きな爆弾は作成されていません。
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なお、長崎に投下された原爆「ファットマン」の威力は21キロトンですが、この爆弾だけで瞬時に4万人の命を奪い、その後、何千人もの人々が核兵器に起因した白血病などで命を落としています。
■ 核兵器はどのように保管されているのか？
非営利団体の軍備管理不拡散センターでアナリストを務めるサミュエル・ヒッキー氏によると、核兵器の保存には何らかの保管施設が採用されているとのことです。ただし、一般的な倉庫に収められているのではなく「偶発的に核爆弾が爆発しても被害を最小限に抑え、また倉庫が外から攻撃されないようにするため地下に埋められていることが多い」と同氏は語っています。
一般的に核兵器がどこかの国から発射されると即座に報復され、世界規模の核戦争に発展する可能性があるのは事実です。このため「世界中から核兵器をなくせばいいのではないか」と発言する人もいます。しかし、スコットランドのスターリング大学でヨーロッパの現代史を教えているオルガー・ネーリング教授は「実現することはありえないでしょう」と語っています。
ネーリング教授は「核兵器が存在する目的は核攻撃を受けないようにするための抑止力に過ぎません。現状、核兵器を保有国から見れば、自国の核兵器をなくすメリットが全くないのです。もし本当に核兵器をすべてなくしたいのであれば、すべての国が非常に高いレベルで信頼しあえる関係にならないといけませんが、国同士でいがみ合ったり、争ったりするような現在では不可能でしょう」と述べていました。
画像: Flickr (President Of Ukraine)
