「私の娘はAIではありません」偶然にもAIアシスタントと「同じ名前の子を持つ」親の苦悩

AIアシスタントで有名なものと言えば、GoogleアシスタントやSiri(シリ)、Alexa(アレクサ)、Cortana(コルタナ)が挙げられますが、もし自分の子どもが偶然にもこの名前だったらどういう問題が起こるのでしょうか?実際にAmazonのAIアシスタントと「アレクサ」と同じ名前の10代の娘を持つ親の苦労をBBCが報じています。

Alexa(アレクサ)は近年登場したAIアシスタントの名前であり、これらが搭載されたスマートスピーカーを使って家電を操作したり、天気予報やニュースを教えてくれたりします。例えば、スマートスピーカーにPCの電源を入れてもらうときは「アレクサ、パソコンの電源をつけて」と話しかけることで、自動的に操作を行うように依頼することが可能です。しかし、実際に同じ名前の幼い子どもが「アレクサ」という名前の場合、同級生から「アレクサ、パン買ってきて」といったようにからかわれたり、いじめられたりしてしまう懸念があります。

実際にこの問題に遭遇しているのがヘザー(仮名)さんの娘で年齢は10代のアレクサさんです。彼女は中学校に入学するやいなや、その名前のせいで教師や同級生からいじめられてしまったそうです。このことが原因でアレクサさんは子どもにも関わらず、「人前で自己紹介することにトラウマを覚えてしまいました」とヘザーさんは語っています。

ヘザーさんは学校に「この問題」を相談しましたが、学校側は「アレクサさんはまだ幼いため、レジリエンスが低くから塞ぎこんでいるだけです。ストレス耐性を高めて、環境に適応できるようになれば、問題なくなるでしょう」と語り、まったく相手にされなかったようです。このため、ヘザーさんはアレクサさんの名前を法的に改名し、新しい学校に転校させることにしました。以降はアレクサさんは精神的にも非常に安定しており、記事作成時点では元気に過ごしているそうです。

なお、イギリスだけで「アレクサ」という名前の人は4000人以上おり、この中には「Amazon Alexa」が登場する前に生まれてきた幼い子どももたくさんいて、ヘザーさんが味わった事例も多く、大人であったとしても「からかわれてしまう」事例も多いとのこと。また、アメリカでは「アレクサという名前だからといって、召使いや奴隷と同じ扱いを受けるのはおかしい」として「Alexa is Human」というキャンペーンも行われているほどに、世界各地では同様のことが問題視されています。

なお、実在の人物名で問題を起こしているのは「アレクサ」だけではなく、AppleのAIアシスタント「Siri」でも同様の問題があります。Siriは「Sigrid(シグリッド)」の略称としてノルウェー、スウェーデン、フェロー諸島で多用されています。このため、これらの地域に住むシグリッドさんは愛称として「シリ」と呼ばれることから、ヘザーさんの娘が味わったような事態に遭遇している人が何人もいるのかもしれません。