「家の鍵がない!」といったことが出かける直前に起こると、誰でも慌てるはず。そんな絶対起きてほしくない緊急事態が発生したときに役に立つかもしれない「物探しロボット」をマサチューセッツ工科大学(MIT)で信号動力学の准教授を務めるファデル・アディブ氏が率いる研究チームが開発しました。
今回、MITが発表したこの技術は「ネットショッピングサイト等で倉庫作業を必要とする仕事」での用途に需要がある可能性を示唆しています。記事作成時点ではコロナ禍の影響もあり、ネットショッピングの需要が高まるなど、電子商取引が非常に発達してきているが現状です。
しかし、商品在庫等を抱える倉庫の作業は身の危険があるにもかかわらず、2021年3月時点でも人手による作業が一般的です。これは、現代のロボット技術だけでは対象物の「位置の検知」や「形状に応じて持ち方を変えること」が非常に難しく、実現が困難とされているからです。
ただし、高周波(RF)の電波を用いることで、図書館の本からペットまで様々なものの場所を把握することが可能になります。対象物にRFIDタグを取り付け、これらのタグ読み取り用の機器(リーダー)があれば、見た目上はタグが見えなくても、情報を読み取ることが可能です。
MITが開発したロボット「RF-Grasp」はRFIDタグが取り付けられた対象物に対して、信号を送信し、対象物の場所を把握します。その後、ロボットに取り付けられたカメラなどから情報を判断して、障害となるものを取り除きながら、対象物に近づく仕組みとなっています。
「RF-Grasp」は従来のカメラの視覚情報だけで作業を行うロボットと比較して、約半分の動作で対象物を取り出すことに成功しました。今後、あらゆるものRFIDを取り付ける時代になれば、真価を発揮する技術として利用されるようになるかもしれません。
実際のRF-Graspが動作している様子はYouTubeでMIT Media Labのチャンネルで公開しているムービーから確認することができます。