元気がない時や気分が優れないとき、リフレッシュのために飲んでしまうエナジードリンクですが、大量に体内に取り込んだときに思わぬ不調をきたすことがあります。実際に1日に4本のエナジードリンクを飲む習慣を持っていた男性が「心不全」と「腎不全」を患ってしまったと報告されました。
- Energy drink-induced cardiomyopathy | BMJ Case Reports
- Man's energy drink habit lands him in the hospital with heart failure | Live Science
心不全を引き起こしてしまった21歳の男性は約2年もの間、500mlのエナジードリンクを毎日4本飲んでいました。この男性が飲んでいたエナジードリンクは1本あたり160mgのカフェインが含まれていたとのこと。コーヒー1杯あたりのカフェイン含有量が約90mgのため、毎日7杯分のコーヒーを飲んでいた計算になります。
この男性は入院に至るまでの数カ月間でずっと「体調不良」を感じており、消化不良や震え、心拍が乱れるようなことがあったと語っています。病院で診察を受けたところ、男性は「心不全」と「腎不全」を患っていたことが確認されました。
これらの病気は2つとも命に関わる病気です。「心不全」は心臓が全身な十分な量の血液を送り出せない場合に起こり、「腎不全」は血液中の老廃物を適切にろ過することができない場合に起こります。この男性はそれぞれの症状が既に深刻な状況になっていたため、「心臓」「腎臓」の臓器移植について、医師と相談していたようです。
男性はその後入院し、エナジードリンクを完全に断った結果、心臓の機能が回復。58日後に退院することができました。また、男性の心機能が大幅に回復したことが確認されており、心臓移植の必要性はなくなったようです。しかし、腎機能については回復したと医師に判断されておらず、将来的に腎臓移植が必要になる可能性が高いとみられています。
記事作成時点でエナジードリンクと心不全との相関関係は明らかになっておらず、結論づけることはできません。しかし、エナジードリンクを沢山飲む人の多くが心臓に何らかの問題が起きたケースはいくつも報告されており、何らかの関係が存在する可能性があります。
実際、この男性を診察した医師も「エナジードリンクをたくさん飲む人が心臓の疾患にかかりやすい傾向にある」ということから、カフェインの過剰摂取が原因と考えて治療を行っており、心機能を回復させることに成功しています。
このため、報告書でも「エナジードリンクが心臓血管系の危険性を高めやすい」として、大量に飲むことの危険性を広く警告すべきだと結論づけています。