「PDFの生みの親」Adobe創設者のチャールズ・ゲシキ氏が死去、PremierやPhotoshopの開発にも貢献

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学術論文や報告書、マニュアルなどをPDF (Portable Document Format)ファイルとして保存しておけば、ブラウザで閲覧が可能です。以前はAdobe製のPDFファイル表示用アプリがないと開けませんでしたが、記事作成時点ではPDFファイルはデファクトスタンダードのファイル形式の1つとして扱われているため、ブラウザだけで閲覧可能になりました。このようにWebの歴史にも残るPDFですが、このファイル形式の開発に貢献し、Adobeの創設者の1人でもあるチャールズ・ゲシキ氏が81歳でその生涯を閉じました。

Adobeによると、ゲシキ氏は2021年4月16日(金)にカリフォルニア州のロスアルトス郊外で亡くなったとのことです。AdobeのCEOを務めるシャンタヌ・ナラヤン氏は同社従業員に宛てたメールで「彼の死はAdobeだけでなく、テクノロジー業界にとって大きな損失です」と述べています。

ゲシキ氏はカーネギーメロン大学で博士号を取得後にゼロックスのパロアルト研究所で働き始めました。そこで、ジョン・ワーノック氏と知り合い、1982年に同社を退社しました。その後、2人は共同でAdobeを創設。1984年にファイル形式「Adobe PostScript」を開発しました。このファイル形式は後に全世界で広く使用されることになるファイルフォーマット「PDF」の前身です。

ゲシキ氏はその後、YouTuberのほとんどが使用している「Adobe Premiere Pro」やデザイナーであれば使ってない人を探すのが難しい「Adobe Illustrator」や「Adobe Photoshop」などの開発にも貢献。同氏はこれらの功績が認められ、2009年にはアメリカ国家技術賞を当時の大統領であるバラク・オバマ氏から受け取りました。

ゲシキ氏はアメリカのテクノロジー界だけでなく、インターネットの世界でも歴史に名を残すほどの貢献をしています。それはPDFの開発だけでなく、動画編集や画像編集分野にも貢献しており、現代の多くの人が何らかの形で接するYouTubeなどの動画サイトの発展にも大きく寄与する結果となっています。