Facebookが「虚偽の薬を広めた」として、ベネズエラ大統領のアカウントを凍結

Facebookがアカウントを凍結するのは「実在しない人物を名乗った」などの虚偽アカウントや迷惑行為をしたアカウント、同サービスの規約を無視したアカウントに該当する必要があります。このため、当時のアメリカ大統領であるドナルド・トランプ氏の発言で「支持者による暴力行為が懸念される」理由で凍結された例を除けば一国の代表者本人のアカウントが凍結されることはありません。しかし、2021年3月27日にFacebookはベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領のアカウントを凍結したと発表しました。

Facebookが問題視したのはマドゥロ大統領が新型コロナウイルスに対して効果のある薬として紹介したモノです。この薬は「カルバチビル」と呼ばれる薬で、同大統領は「新型コロナウイルスを完全に無力化し、副作用も一切ない『奇跡の薬』だ」と表現しています。この発言に対して、ベネズエラの医師は「科学的な根拠が全くない」と指摘しています。

Facebookは「新型コロナウイルス対策に対する嘘の情報を流すこと」に対して、厳しいガイドラインを設けています。このため、Facebookはマドゥロ大統領が同サービス内で「カルバチビルの宣伝」をしていたムービーを削除、そして30日間の間、新規投稿を制限する「アカウント凍結」の対応を行いました。このFacebookの対応について、ベネズエラ当局は何もコメントをしていません。

ベネズエラの公式発表では2021年3月26日時点で新型コロナウイルスに感染した人は累計で15万4905人、死者が1543人となっています。しかし、ベネズエラの野党に所属する政治家は「検査数自体が少ないため、実際の数値はもっと高いと思います」と語っています。