北朝鮮が深刻な経済危機と食糧不足に直面、金正恩氏「飢饉への備えを」

北朝鮮の朝鮮労働党総書記を務める金正恩氏は国民に対して「苦難の事態に備えるように」との異例とも言える呼びかけを行いました。

北朝鮮は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、記事作成時点では国境を封鎖しています。当然このような事態では中国からの食料輸入等がままならず、事実上、貿易までも中断している状態です。これ以外にも北朝鮮は平壌での核開発を続けていることから、国際的な経済制裁を受けている立場でもあり、各国からの支援物資が同国内に入ることはありません。

このため、北朝鮮ではトウモロコシ1kgが同国の平均月収程度の値段に高騰するなど、同国内は物資が全くない状態であり、同国内の食糧枯渇も見えている状況です。この状況から金正恩氏は「国民の困難を少しでも緩和するため、『苦難の行軍』を行う」と政府関係者に発言し、危機的状況に備えて準備することを求めました。

同氏が危機感を示している事態というのは1990年代に起きた飢饉です。当時、北朝鮮を支援していたソ連が崩壊した影響で物資が全く入ってこなくなり、深刻な食糧不足の結果、約300万人が死亡したと言われています。

しかし、北朝鮮はこのような状態であるにも関わらず、中国との貿易を再開することもなく、密輸行為については厳罰に処する対応を取っています。当然ながら核開発も進めているため、同国は自らの首を絞める行為を続けており、危機を脱するための対応をとっていないことが気になります。