「ゲームコンソールで利益はない」Microsoft幹部がXboxビジネスの収益性について語る

Epic Gamesが開発・提供している「フォートナイト」がAppleのApp Storeから規約違反として削除された問題で、記事作成時点で裁判が進行中で、多くのことが明らかになっています。この裁判中にはMicrosoftのゲーム事業の売上についても言及されており、同社の幹部が行った「Xboxのゲームコンソール事業」の利益についてのコメントが話題となっています。

AppleとEpic Gamesの法廷闘争では「Appleの営業利益」や「Appleが1億2800万人のiPhoneユーザーに対して行われたハッキング被害を隠蔽した」など様々ななことが明らかにされています。この裁判では、法廷闘争中の2社とは全く関係ないMicrosoftのゲームコンソール事業の利益構造についても言及されることになりました。

Microsoftのゲームコンソール事業について、コメントしたのはXbox事業でトップを務めるロリ・ライト氏です。彼女はEpic Gamesの弁護士から行われた「MicrosoftはXbox(SX、SS)等のゲームコンソールの販売でどれくらいの利益を得ていますか?」質問に対して、「全く得ていません。」と回答し、Xboxのゲーム機を売っても、利益はないとしています。

この事実はゲーム業界では有名な話であり、ゲーム機を販売するメーカーは採算を度外視して、ゲーム機を安価に販売することがあります。これはゲーム機自体を普及させることが目的であるからです。これはPlayStationを販売するSONYでも同様のことで、同社も高性能なゲーム機を低価格で販売することで「ゲーム機単体では利益が出ていない」ことをAppleとEpic Gamesの裁判で明らかにされています。

MicrosoftとSONYの2社はゲーム機の販売で利益を得ることはできません。しかし、この得られなかった分をゲームソフトの価格に一定のマージンを乗せることで利益を出すようにしています。

Epic Games側の弁護士が問題にしているのは2社ではなく「Appleの収益構造」についてです。MicrosoftとSONYはソフトウェアやオンラインサービスの利用料で利益を生み出すようにしています。しかし、Appleの場合はiPhoneやiPadの売上でも利益を出す戦略を取っているにもかかわらず、App Storeのようなソフトウェアサービスでも利益を出しています。

つまり、ゲーム機の売上で大損していても、大きな利益を計上しているMicrosoftやSONYと比較して、Appleは「ハードウェア・ソフトウェア両面で大きな利益を出す『アコギな商売』をしている」とEpic Gamesの弁護士が指摘しています。

このように徐々に泥沼化しつつある裁判ですが、判決次第でApp Storeの運営方法が変わる可能性もあり、今後の展開は要注目です。

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AppleとEpic Gamesの訴訟において、AppleがAppStore事業で営業利益率が8割近くあることを指摘された記事は以下から確認できます。