カンボジアの環境活動家3名が「国王侮辱罪」で起訴される、ただし違反内容不明で「口封じ」との見方も

画像: Twitter(Ambassador W. Patrick Murphy)

カンボジアの裁判所は同国の環境団体「Mother Nature」のメンバーであるサン・ラタ氏、ルイ・チャンダラヴス氏、ユイム・リァンハイ氏の3名が「国王侮辱法」に違反したとして起訴したことを発表しました。しかし、彼らの「どんな行為」が法律に該当したかについて、当局は一切明かさなかったとのことです。

カンボジアの国王侮辱法は2018年に導入された法律で「国王への侮辱行為に対して刑罰を与える」ことを目的にしています。しかし、この法律上において「侮辱行為の定義」が不明確になっており、政府に反対意見を唱える人や組織全てに適用できる内容となっていることから、批評家の間で警鐘が鳴らされています。

実際、今回起訴された3名について、カンボジア当局は「警察が集めた証拠から国王の侮辱罪に該当する」としか述べておらず、逮捕および起訴の決め手となった具体的な発言内容や活動内容については一切触れられていません。さらに、記事作成時点においてカンボジアの環境団体は政府の方針に批判的な立場を示すことが多いため、これらの団体の口封じを目的とした行動であるとの見方もされています。

アメリカとスウェーデンの両大使館は今回の起訴について批判する立場をとっています。アメリカのパトリック・マーフィー大使は「環境活動家の逮捕の報道を聞いて非常に困惑しています。汚染状況の調査は一般的な公共サービスでありテロ活動ではありません」とTwitterでコメントし、この3名がトンレサップ川の汚染調査時に逮捕されたことを批判しています。

スウェーデン大使館も「カンボジアの若い環境活動家に対する法的措置が適用されることを非常に懸念しています。市民活動や情報の透明性などは[**持続可能な開発**](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E9%96%8B%E7%99%BA)にはとても重要な要素です。本来なら彼らの活動は奨励されるべきなのです」と語っています。

カンボジア政府は批判や反論に対して厳しく取り締まることでも知られており、今回起訴された3名は5年~10年の懲役刑が科される見込みです。