韓国では他人(主に女性)の持ち物に精液をかける行為を「精液テロ」と呼称されています。しかし、精液テロ自体は韓国で比較的軽い罪として扱われることから、厳罰化しようと法改正を進めようとしているとのことです。
この法改正の動きが強まったのは近年の女性の持ち物に対して精液テロを行い、逮捕された男性の多くが「性犯罪」ではなく「器物損壊」の罪で処罰されていたことが原因です。比較的、韓国では性犯罪に対して寛大な判決を取られることが多く、近年の「#MeToo運動」の影響も受けて批判の声が強まっている現状があります。
実際に2019年の犯罪事例を見てみると、「女性の靴に精液をかけた」男性の場合は器物損壊の罪で50万ウォン(約47650円)の罰金刑に科され、「自身とのセックスを断られた腹いせに自分の精液や痰を計54回にもわたり、相手の女性にかけた」男性の場合は性的暴行が成立しなかったことで、「傷害未遂」の罪で懲役3年の刑が科されたという実例があります。
記事作成時点における韓国の法律では「痴漢」「強姦」などを性犯罪として認められるには「加害者が被害者に対する暴力や脅迫を行うことが必要」とされています。このため、明確な暴力行為や脅迫行為が認められないケースの場合は性犯罪と成立せず、軽微な罪として処理されてしまうのです。
このため、韓国の与党「民主党」に所属するペク・ヘリョン氏は「性犯罪は被害者の立場に立って、解釈される必要があります」と語り、精液テロ自体が「性犯罪」でなく、器物損壊や傷害などの罪に問われるのは根本的に間違っているとしています。同氏は「性的羞恥心を与える物や物質の提供を提供するような非肉体的接触行為も性犯罪に含める」ことが記載された法案を提出しています。
韓国では近年、法制度の整備が徐々に進んでおり、違法なアダルトビデオ等を所持するだけで「3年以下の懲役」が科されるように改正されました。また、これ以外にストーキング行為についてもより重い処罰が科されるようになっているとのことで、今回提出された法案も将来的には審議が通過するものと考えられています。