3800台のPS4で動作する「仮想通貨マイニング工場」が摘発される

画像: ウクライナ保安庁

ウクライナ保安庁は2021年7月8日にウクライナの都市ヴィーンヌィツャにある仮想通貨マイニング工場を摘発しました。このマイニング工場は都市の電力網から必要な電気を盗んで運用されていたそうですが、その中で主に稼働していたのはマイニングに不向きと思われる3800台のPlayStation 4(PS4)であったとのことです。

ウクライナ保安庁はマイニング工場の摘発により、500枚以上のビデオカードのほか、50個のCPU、そして記事作成時点ではアメリカをはじめとした国々で品薄となっているPS4本体など、計5000にも及ぶハードウェアを押収しました。本来、マイニング工場では大量のビデオカードやASICでマイニングに特化した専用のハードウェアを用いられることが多いのですが、この工場で大量に見つかったのはPS4でした。

つまり、犯行を行った組織はPS4でマイニングをしていたと考えるのが自然な形です。実際に工場内では大量のPS4がネットワークケーブルで接続されており、明らかにコンピューターとして使用されているようでしたが、記事作成時点ではPS4に「コンピューター用のOSをインストールする機能」は提供されていません。おそらく、犯人は何らかの方法でPS4にLinuxなどのOSをインストールして、マイニングに使用していたと考えられます。

画像: ウクライナ保安庁

ここで気になるのは「PS4の性能で仮想通貨マイニングを行えるだけの能力は存在するのか?」についてです。これについて、コンピューターのハードウェアの情報を取り扱うTom's Hardwareは「演算性能がそこまで求められないイーサリアムのマイニングならPS4でも問題なく行えると考えられ、マイニング用ビデオカードで性能の高い『Radeon RX 580』の性能を100%とした場合、PS4 Proなら85%、PS4なら70%程度の性能が期待できる」として、意外と悪くない性能で機能する可能性があるとしています。

しかし、効率の面ではゲーム機を使うよりもビデオカードやASICを使用する方が「電力消費に対する儲け」が良いことは明らかです。ただし、犯人は盗電でマイニング工場を運営していたため、効率なんてものは禁止なかったのかもしれません。

なお、ウクライナ保安庁によると、犯人はまだ捕まっておらず、記事作成時点では捜査中とのことです。