「注射が嫌い」そんな人に向けたスマートな「薬剤注入ツール」をMITが開発

注射針が皮膚内に入ってきたときの痛みが嫌で「注射が嫌いな人」は多くいます。そんな人たちに向けてか、マサチューセッツ工科大学(MIT)では注射を使わずに安全に薬剤を体内に注入できる「薬剤注入ツール」を開発したとのことです。

MITが開発したツールは薬剤を収める飲用のカプセルです。このカプセルは注射針を内蔵しており、胃に入った後、胃の内壁に注射針を刺し、内部に直接薬剤を注入します。注入が終わると針はカプセル内に収容され、以降はそのままの消化プロセスを経て体外に排出される仕組みとのことです。

MITで機械工学の助教授を務めるジョヴァンニ・トラヴェルソ氏は「より服用しやすい形にすることで患者は『処方通り』に薬を飲む可能性が高まるはずです」と語っています。MITが開発したカプセルはがん治療に効果があるとされるモノクローナル抗体や糖尿病治療に使用されるインスリンなど注射で投与される薬剤の注入が可能なことが確認されています。

このカプセルは形状にも特徴があり、急峻なドーム型の形状となっています。このようにすることで胃の内壁に沿ってカプセルが着地できるようになり、注射針をスムーズに打ち込んで薬剤を注入できるようになったとのことです。実際にカプセルが胃の中に入り、薬剤が注入される様子をYouTubeのトラヴェルソ氏が公開しているムービーで確認することができます。

記事作成時点でこのカプセルは4ミリグラムの液体薬剤を投与できるように対応するため、当初よりもサイズが大きくなりましたが、カプセル自体はブルーベリーほどの大きさで収まっており、飲み込むことが難しいものではないそうです。なお、このカプセルがいつから実際の医療現場で実用化されるかはまだ明らかではありませんが、注射を必要とする薬剤の注入がより簡単に行えるようになる日が近いのかもしれません。