アメリカのオハイオ州にあるクリーブランド・クリニックの研究者は装着した人の脳と通信する義手を開発しました。この義手を装着した人は「自然な腕の動きに近い動作」が可能になるとのことです。
- Bionic Arm Advances Provide More Natural Function Study Shows – Cleveland Clinic Newsroom
- Bionic arm communicates with the brain of the wearer - SlashGear
研究チームが開発した義手には「ハイレベル・コンピューティング」と呼ばれる触覚と運動感覚を統合する技術が盛り込まれています。義手の見た目は一般に市販されているものと同じですが、ユーザーが装着すると、本物の手に近い感覚を与えてくれるとのこと。研究チームを率いているポール・マラスコ博士は「見た目は人工の手ですが、内部は高度に洗練されたコンピューターによる通信やフィードバックのシステムが動いているのです」と語っています。
この義手は腕の神経を介して装着の脳と義手を接続する仕組みを取っているため、「手を動かしたい」感覚に従って、義手が動作します。なお、この義手はただ動くだけでなく「現在、義手がどのような状態」なのか「何に触れたのか」といった感覚も瞬時に脳にフィードバックするとのことです。実際に義手を使用している様子はクリーブランド・クリニックのYouTubeチャンネルで公開されているムービーで確認することができます。
研究チームは実際に腕を失った患者に今回の義手を装着して使用感を確認したところ、通常の人と同等程度の精度で作業ができることを確認したそうです。マラスコ博士はこの結果について「手がなくても、手が動いているように感じ、指がないのに指があるように感じるのです」と語り、今回開発した義手の有用性を示しています。
今回開発された義手を一般の人が使えるようになるには「さらなる研究が必要」とマラスコ博士は語っており、今回開発した義手で得た研究結果を活用して、今後より良い義手や義足の開発に努めると語っています。