「鼻水が止まらない」新型コロナの検査を受けた影響で鼻から「脳液漏れ」を起こしていた男性が登場

とある男性が新型コロナウイルスの検査を受け「陰性」の判定を受けたのですが、検査以降「鼻水が止まらない」という症状に悩まされていました。いつまで経っても症状が改善しなかったため、病院で診察を受けたところ、鼻から脳液(脳脊髄液)が漏れていたことが発覚したとのことです。

2021年9月9日にJAMA Otolaryngology – Head & Neck Surgeryに掲載された報告によると、チェコに住む男性は「新型コロナウイルス感染の濃厚接触者」に該当。2020年3月に新型コロナ感染有無の検査を受けるため、病院で「鼻腔ぬぐい液」による検査を受けました。検査では陰性となったことから、男性は安心していたそうですが、検査後から右の鼻の穴から鼻水が出るようになりました。

当初、本人は「アレルギー性鼻炎」による影響と考えていたようですが、9カ月間も症状が改善しなかったことから病院で診察を受けることにしたとのこと。病院で頭蓋骨をCTスキャンで検査したころ、鼻と脳を隔てる「篩状板(しじょうばん)」という骨に欠損があり、そこから男性の右鼻孔を通って脳脊髄液が漏れ出していたことが明らかになりました。

今回の脳脊髄液の漏出は2020年3月に行われた新型コロナ感染有無を調べるために行った「鼻腔ぬぐい液」検査の際に生じたものと考えられています。このとき、男性を担当した医師は鼻の穴に入れる「鼻腔スワブ」を誤った角度で挿入され、男性の篩状板を傷つけてしまったと考えられるとのことです。

なお、新型コロナの検査の影響で脳脊髄液が漏出したケースはほとんどなく、今回の例が世界で2例目とされています。1例目のケースでは患者の頭蓋骨に当初から欠損があり、新型コロナ検査に起因した脳脊髄液が漏れ出したとのこと。今回の男性は2011年に頭蓋骨のCTスキャンを行っており、そのときは頭蓋骨に欠損は確認されていませんでした。このため、検査ミスで脳脊髄液が漏出したケースは今回が初めてといえそうです。