「セックス中に黙ってコンドームを外す」ステルシングが禁止行為として認定される

相手の同意なくセックス中に「コンドームを故意に外す」ステルシングと呼ばれる行為はイギリスなどの一部の国では性的暴行と扱われ違法とされていますが罪に問うのは難しいとされており、記事作成時点で日本をはじめとした多くの国では違法と扱われていない状況です。そんな中、アメリカのカリフォルニア州でステルシング行為が明確に禁止され、アメリカ国内で初めて違法とされたとのことです。

この法案を提出したカリフォルニア州議会議員のクリスティナ・ガルシア氏は何年も前から「ステルシング」に関する法律の制定に取り組んできていました。2017年、2018年にはステルシングを犯罪行為として「加害者に懲役刑を求刑できるようにする法案」を提出しましたが、これらの法案が認められることはありませんでした。

今回可決した法案では民法だけを改正するもので「刑事罰を適用すること」はできませんが、カリフォルニア州で無事可決されることとなりました。この結果、ステルシング被害に遭った女性は加害者を訴えて損害賠償を請求することが可能になります。法案の可決まで進めることができたガルシア氏は「同意なくステルシングが行われたのであれば『レイプ』『性的暴行』にあてはまる行為であり、本来であれば、ステルシングは刑法に盛り込まれるべき事案です」と語っており、今後も刑事罰が適用できるように活動していくつもりであると述べています。

法律の専門家は「ステルシング自体は刑法に明確な記載がなくとも、軽度の性的暴行とみなされる」可能性があるとしています。しかし、彼らによると、ガルシア氏の新法は「民事上の請求でステルシングの『曖昧な点』を全て取っ払っているため、被害者が訴訟を起こしやすくなったこと」が評価すべき点であるとのことです。

イギリスやニュージーランド、ドイツなどの国でも「ステルシング=性的暴行」とみなしており、刑法で刑事罰を与えることが可能ですが、「男性が故意にコンドームを外したこと」を立証するのが難しいこともあり、ほとんど起訴されていないのが実態のようです。このため、今回、カリフォルニアの州法で認められた法律は「刑事事件よりも立証責任が低い」民事訴訟に重点が置かれており、訴訟の起こしやすいという利点があり、「この動きが他の州でも活発になってほしい」とガルシア氏は語っていました。