「火葬したはずなのに」新型コロナで亡くなった2人の遺体が15カ月もの間、霊安室に安置されていたことが判明

画像: Flickr(Dominic Milton Trott)

インド南部のカルナータカ州の州都ベンガルールにあるインド政府が運営するラジャジナガー病院の霊安室で2020年7月に新型コロナウイルスで亡くなった2人の腐乱した遺体が発見されました。なお、この2人の遺族には「遺体からの新型コロナウイルス感染を防ぐため、病院で火葬した」と伝えられていたため、遺体があることを知った遺族は「寝耳に水」の状態だったとのことです。

発見された2名の遺体はドゥルガー・スミトラさん(40歳女性)とN・L・ムニラージュさん(67歳男性)のもので、2人は新型コロナウイルス感染でラジャジナガー病院に入院してから3日後の2020年7月2日に亡くなり、すぐに火葬されていたと記録されていたことが確認されました。ラジャジナガー病院の関係者によると、2人の遺体が安置されていた霊安室は2020年12月に閉鎖され、新しい霊安室が使用されていたようですが、2021年11月27日に「閉鎖した霊安室から異臭がした」ため、スタッフが確認したところ、2体の遺体を発見したとのことです。

2人の遺族には「病院で火葬する」と告げられただけで、彼らが死亡してから一度も遺体の顔を見ていませんでした。2人の死亡当時はインドで新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大しており、遺体から遺族にウイルスが感染する恐れがあったことから、例外的に病院で火葬する形がとられていました。

このため、病院から死亡の事実を聞かされて以降、遺族は仕方なく、遺体のない状態で葬儀を執り行っていたそうでした。しかし、病院から突然「病院の霊安室に15カ月前に亡くなった遺体を確認したので、ご家族のものか確認して欲しい」と連絡がきたため、遺族は驚いたそうです。ムニラージュさんの義理の息子であるサティシュ・クマールさんは「私たちの家族が死んだあと放置されていたという事実にショックを受けています。これは死者への冒涜で絶対にあってはならないことです」と病院の管理が不適切だったことに怒りを感じているようでした。

カルナータカ州ラジャイナガーの地方議員を務めるS・スレッシュ・クマール氏は「新型コロナウイルス感染のピーク時には様々な心を痛める事態が発生しましたが、今回の病院の不適切な管理に関する問題は『最も残念なもの』と言えます。これは無責任かつ非人道的な行為といえます」と述べており、当局に事件の詳細な調査を行うよう要請しました。なお、発見された2人の遺体については2021年11月29日に家族立会いのもと、火葬が行われたとのことです。