「托卵被害を抑えるため」キイロアメリカムシクイが「長期記憶」を持っていることが判明

婚姻関係にある夫婦間には(夫に内緒で)別の男性との間の子どもを妊娠して、さも夫婦の間できた子どもと偽って育てる「托卵」という行為があり、離婚原因の1つになっています。その語源ともなっている鳥類の托卵は非常に過酷で、北アメリカ大陸にいる何百種もの鳥は「知らないうちに」別の種のヒナ鳥を育てることに労力をかけているのが現状です。そんな中、キイロアメリカムシクイは托卵の被害を最小限に抑えるために「長期記憶」ができることが明らかになりました。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)とモンタナ大学の研究チームによると「キイロアメリカムシクイのメスが卵を温めている際に『托卵』目的に活動する鳥が周囲を飛んでいると、オスはメスに対して警告音を発し、この警告音を聞いたメスは1日以上警戒行動を続けた」とのことです。

UIUCで動物行動学の研究を行っているマーク・ハウバー氏は「動物は賢くならなければ行けない状況に置かれると、賢くなるものです」と語っており、キイロアメリカムシクイが対策を取るために進化してきた結果であるように見ているようです。

実際に研究チームは「キイロアメリカムシクイが警告音を記憶する能力を持っているかどうか」を調査しており、UUICのキャンパスの近くにある27の同種の鳥の巣にいるメスに「無音(A)」「キイロアメリカムシクイのオスが発する警告音(B)」「その他の状況で発せられる警告音(C)」を聞かせる3グループに分けて、10分間音を聞かせました。すると、Aのグループを比較して、Bのグループのキイロアメリカムシクイのメスは16時間長く警戒行動を取るようになったそうです

ハウバー氏は「今回の実験結果でキイロアメリカムシクイが長期記憶に似た方法で鳴き声で伝えられた知識を記憶することができることがわかりました」と研究成果について、述べていました。UUICの行動生態学者であるシェルビー・ローソン氏は「このような動物は『言語』という足がかりを持っています。これらを調査するには脳の中でどのように情報が処理されているのかを調べないといけません」と語り、今後はキイロアメリカムシクイの脳を分析調査を行いたいと説明していました。